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[社説]韓国とはまったく事情の違うドイツの連立政権を例にとる大統領

[社説]韓国とはまったく事情の違うドイツの連立政権を例にとる大統領

Posted October. 08, 2005 07:57,   

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大統領府は一昨日、与野党の国会議員、大学教授、マスコミ関係者ら3万8000人に、「ドイツ総選挙前後の政治分析」という題名の長い文章を電子メールで送った。ドイツで保守連合と左派政党間の大規模な連立政権が発足するという見通しが書かれた、李スヒョク現地大使の報告書だ。大統領府のこうした「メール政治」は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がいまだに連立政権に執着していることを示している。

これに先立ち、大統領府は先月、「連立政権がうまく運用されている国の政治に関して報告書をまとめるように」と、各国の大使に指示したという。盧大統領は李大使の報告書を読んだ後、「感銘深い。韓国の状況と比較して考える必要がある」とし、各界の有識者に送るよう指示したという。大統領が意図した政治構図をつくるため、「これに符合する報告書」をまとめるよう大統領府が在外公館に指示し、大使がこれに従うというのは、国益のためのことなのか、あるいは政権の必要を優先視してのことなのか。しかも、多数の国民が連立政権に反対しているではないか。

ドイツの大連立が韓国政治のモデルになるわけでもない。ドイツの連立政権は長年のドイツ式の政治文化の産物であるからだ。ドイツの政治史は内閣制の下で、大連立と小連立を繰り返してきた「連立政権の歴史」といっても過言ではない。連立政権の基本条件である「政策連帯」もまた日常化している。そうした国で国民の70%が大連立を支持するということが、我々にとって決定的な要素になるとは言いがたい。

盧大統領は、「与党のヨルリン・ウリ党と野党のハンナラ党は、政策的にさほど違いがないと思う」と述べたが、政府与党とハンナラ党がことあるごとに政策対立を見せてきたのは大統領自らがよく知っているはずだ。増税と減税、国家保安法の廃止と維持、教育政策などはもちろん、韓国の近・現代の歴史の見方に至るまで、政策連帯の共通点を見出すのは難しい。国民の60〜70%が連立政権に反対するのは、無理な結合はかえって国政混乱をあおるのみであることを懸念しているからだ。

にもかかわらず、盧大統領が外国を相手に国益を生み出すべき大使まで動員して、すでに「失敗した政治企画」と判明した連立政権構想にこだわるのは納得できない。現在の国の状況は、大統領が、韓国と大いに異なるドイツの連立報告書を感銘深く読んで数万名に送るよう指示するほど楽観的でない。