「安易に就職するより、専門通訳・翻訳者の道に進むことに決めました。遠回りした感じですが、自分の進むべき道を見つけました」
入社面接だけでも100回以上落ちながら、就職を諦めなかった河万宰(ハ・マンジェ)さん(30)さんは、最近忙しい日々を送っている。
短大を卒業して釜山(ブサン)外国語大学の日本語科に編入して、昨年8月に卒業した河さんは、採用専門会社であるインクルートが主催した失業事情公募展で1位になり、その事情が紹介された。
5ヵ月が過ぎた今、再就職しただろうという予想とは違い、河さんは日本語通訳の仕事をしながら翻訳士試験の準備をしている。
「東亜(トンア)日報に記事が出た後、10余りの会社から面接を受けるようにという連絡が来ました。実際、面接を受けたこともあるし、ある大手企業と数社の中小企業から入社の提案も受けました」
いよいよ夢に描いた「無職脱出」を目前にしたが、決定的な瞬間、河さんは深刻な悩みに陷った。
「あまり簡単に機会が回ってきたようで戸惑いました。専攻と関係のない仕事をうまくやりこなすことができるだろうか、心配にもなりました。初めはいいかもしれないが、全く考えなかった道に進むと、後で後悔するだろうという気がしました」
数日間悩んだ末、河さんは結局再就職をあきらめた。
「周りからは『考えが甘い』とか『おかしいんじゃないか』と、厳しく責められました。両親も再就職を勧めました。しかし簡単に与えられた仕事は、自分のものではないという気がしました」
その代わりに通訳・翻訳者になって、定年に関係なく一生働くことができる専門家になることにした。
「この道が自分に一番あっていて、後悔しない道という確信がありました。少し遅れた感がありますが、やっと私の道を見つけました」
河氏さんはこうした考えを説明して、両親を説得し了解を得た。6月からは本格的に通訳の仕事を始めた。
現在、河さんは仁川(インチョン)で日本人バイヤーの通訳の仕事をしている。今月末まで仕事が続くため、今年の秋夕(チュソク=旧暦8月15日)には故郷である釜山(ブサン)に帰ることができない。
「帰省ができない代わりに、両親に通訳で儲けたお金を渡すつもりです。秋夕のときに小遣いを渡すのは今度が初めてです。たとえ故郷に帰れなくても、未来を明確に設計したし、両親に小遣いも渡せるようになったので、今年の秋夕はいつよりも心が楽で豊かです」
河さんは自分に好意を示してくれた方々への感謝の気持ちを、一生大事にしたいと言った。
「何一つ特別なところのない自分に、大きな関心を持って応援してくれたことを本当に感謝しています。あるお年寄りの方は、直接会って就業のために準備しなければならない事項と人間関係を形成する方法までアドバイスしてくれました。必ず専門の通訳・翻訳者になって、頑張っている姿をお見せします」
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