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「韓国のロビンソン・クルーソー」西洋画家金ソンホさん

「韓国のロビンソン・クルーソー」西洋画家金ソンホさん

Posted September. 13, 2005 07:33,   

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京畿道楊平郡砥堤面(キョンギド・ヤンピョングン・チジェミョン)ウォルサン里にある西洋画家の金ソンホさん(51)の作業室は、19世紀の米作家ヘンリー・デーヴィッド・ソローの家をほうふつとさせる。ソローはウォールデン湖畔で、自給自足の現代版ロビンソン・クルーソーとなった。湖畔の近くの人気のない所に家を建て、そこでの暮らしを通して得た美しい思想と所感を書いた「ウォールデン」というエッセイ集で有名になった。金さんの家も人気のまれな谷にある。近くには谷川が流れ、周辺には森が茂っている。森の真ん中に彼の家がある。庭には彼が自ら耕作している小さな菜園も見えた。

約10年前、ここに入って来て一人で丸太小屋を建てた。屋根を立てるさいに数日だけ人手を借りただけで、設計から資材購入、建築まで全部一人でした。電気、水道配管、排水施設も独学で勉強して作った。作業室の必要と金の不足で始めたことだが、意外に家を建てることに大きな魅力を感じたという。

金さんは、「家を建てるのは、『労動と思惟が結合された最高のレジャー』」とまで語った。あまりに徹底して事前準備をしたためか、資材ごみがほとんど出なかったと自慢しながら笑った。

絵を描く時に使う顔料も自ら直接作って使う。カンバスで使う絹地だけ購入して使うだけで、自然から直接採取した土、砂利の粉、瓦、赤い植木鉢の切れなどを直接きれいにくだいて使う。韓国画のようで洋画のようで、水墨画のようで油絵のような金ソンホの風景画の温かく、かつほのかな感じは、このような長年の手作業の賜物だ。

天然顔料は既成の絵の具では真似ることのできない薄い中間トーンがもつほのかな感じを与えるが、作家はしばしば、絹の織目に沿ってきれいに彩色したり、カササギの尾毛で作った目の荒い筆で厚いタッチを残したりする。作家は自分が建てた家で、自分が作った顔料で、お金がなくても、食べ物がなくても、そのまま自然の風景の中で自分の内面を表現することに没頭して来た。

金さんの作品に登場する風景は一様に物静かな田舍だ。すすきが生い茂った低い丘、収穫の終わった秋の野原、晩春や真夏の青い新緑、風に吹かれて流れる雲がかかった尾根、神秘性が感じられるヒメモカシヨモギの野原、小さな野花がいっぱいの広々とした広野、田のあぜにこんもりと積もった雪…。名勝や奇岩怪石、雄大壮厳な山の代わりに、まさに我々のおじいさん、おばあさん、親世代が生まれ育ったと思われる顔なじみの昔の田舍の風景は、そのような思い出のない若い都会人たちにもやさしく素朴な感じを抱かせる。

強烈ではないが、彼の風景画は見れば見るほど、もっと見たくなるような魅力がある。じっと見ていれば、見る人が実際の葦の中に、森の中に、低い山の上に、曲がった道の上にいるような錯覚をおぼえさせる。そして、ふと寂しくなる。

今年2学期からは弘益(ホンイク)大美術大学院副教授に任用され、作家と教授を兼ねるようになった。山で一人で作業する野人を評価してくれた人々が彼にはありがたく、生計のためにもなるので嬉しい話だが、50を超えた年に始めた兼業であるだけに負担を感じるのも事実だったという。

金さんの11回目の個展が10月5日まで、ソウル鍾路区安国洞(チョンノグ・アングクドン)サビナ美術館(02−736−4371、4410)で開かれる。絹に描いた石彩画30点余りとドローイング10点余りが出る。横4.6m、縦1.6mの大作である「葦」は、茂った葦の間で遠く見える秋の野原と枯れた木を配置し、秋の雰囲気をたっぷり感じさせる。



angel@donga.com