北朝鮮が最近、世界食糧計画(WFP)に対して食糧支援方式の「緊急救護」から「開発救護」への切り替えを要請したことが、9日確認された。
北朝鮮は、食糧配給の実態に対するWFPスタッフらの徹底的な監視をともなう「緊急救護」を負担とし、「開発救護」への転換を推進しているものと分析される。
これにより北朝鮮は、食糧支援方式転換のための本格的な交渉に入るさいに、WFP側に配給実態調査の手続きの廃止または削減を、強く要求することが予想される。
しかし、WFPは「開発救護」であっても配給の実態調査を行うという原則を明らかにした。
▲「来年から開発救護に切り替えて」〓WFP中国・北京事務局の北朝鮮担当者ジェラルド・バーク氏は9日、東亜(トンア)日報の電話インタビューに答え、「北朝鮮当局が最近『緊急救護は10年間十分に受けた。来年1月から開発救護に切り替えてほしい』という意見を伝えてきた」と明らかにした。
同氏はまた「北朝鮮が国際機関の食糧支援を拒否する意思を明らかにしたと伝えられたのは、明らかに間違いだ」と指摘した。
これに先だち、昨年8月にも北朝鮮は、WFP側に食糧支援方式の変更を要請しつつ「(WFPによる)食糧配給の実態調査があまりも頻繁だ。住民たちが不都合を感じている」と不満を表明したと、同氏は伝えた。
したがって、WFPは、今回要請があった「開発救護」について、配給実態調査のない新しい方式の食糧支援を意味するものと受け止めている。
韓国政府の高官は「北朝鮮当局は、国際機関の関係者らが配給実態調査の過程で住民たちと直接接触することは体制の不安定化を加速すると判断し、これを防ごうとするものと見られる」と分析した。
北朝鮮で活動するWFP所属スタッフは計120人余りで、平壌(ピョンヤン)と平安北道新義州(ピョンアンブクド・シンウィジュ)、両江道恵山(ヤンガンド・ヘサン)など6地域の事務局に分かれて活動している。
韓国政府の一部では、食糧事情が改善されつつあると判断した北朝鮮が、農業構造改善のためのインフラ構築が支援される「開発救護」に方向を変えた、との分析も出ている。今年韓国と中国からそれぞれ50万トン、15万トンのコメを支援する計画が、北朝鮮当局に余裕を与えたというのだ。
また、北朝鮮が「緊急救護」に比べて食糧支援量の少ない「開発救護」を受けたとしても、実態調査の精度が相対的に低い韓国と中国の支援量を増やすことで、食糧不足分は解決できるだろうと予想しているという見方もある。
▲転換可能性は低い〓「現場へのアプローチなくば食糧なし(no access、no food)」というのがWFPの原則。したがって、北朝鮮の思惑通り食糧配給の実態調査のない「開発救護」が実現する可能性は低い。
WFPは昨年秋、北朝鮮当局が慈江道(チャガンド)全域に対する配給実態調査を禁止したさい、昨年12月から今年2月まで慈江道に対する食糧配給を中断した。
WFPはまた、食糧支援量の少ない「開発救護」の北朝鮮への適用は時期尚早との立場だ。したがって、WFPは北朝鮮が「開発救護」を引き続き希望する場合、「緊急救護」と「開発救護」を並行して行う方針だ。
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