▲セキュリティーが命
電子産業が主力である三星(サムスン)とLGグループはセキュリティーに万全を期している。三星はセキュリティー専門の系列会社エスワンに、三星の本社ビルと器興(キフン)半導体研究所のセキュリティーを任せている。三星の本社ビルの主要役員室や会議室には窓ガラスに電磁波を遮断する特殊フィルムが貼ってある。
エスワン関係者は「ドイツから輸入した特殊フィルムを貼る作業が主要箇所に施されている。ガラスに電磁波を発射し、振動によって音声を感知する盗聴に対応してのもの」と説明した。盗聴器を見つけるための探知作業も2、3か月ごとに行われている。
LGの場合、LGツインタワー内の主要施設に対し、年2回ほど外部の専門会社に依頼して定期のセキュリティー点検を行っている。
中でも、10人程度のセキュリティー担当職員を雇っているLG電子は、重要な会議や行事の前には必ず盗聴探知器で事前にチェックをする。LG電子の研究施設では、目をスキャンする虹彩認証システムを使って出入りを統制している。
▲VIP室は主要対象
SKグループはセキュリティー会社に依頼し、2か月ごとの定期盗聴監視作業を行う。会長室や各系列会社の最高経営者(CEO)のオフィスが主な対象だ。
現代(ヒョンデ)自動車は、「盗聴事件」以前から経営陣のオフィスや主要会議室に盗聴防止装置を設置している。
斗山(トゥサン)グループの場合、5月からロビー、廊下、オフィスの3段階の関門でIDカードを持たなければオフィスに出入りできないようにする3重のセキュリティー装置を取り付けた。
盗聴事件以後、VIP室に対して徹底的なセキュリティーチェックを行った。最近は、経営陣の主要会議の際にクラシック音楽を流して盗聴を防止する方法も使った。しかし、役員から「集中できない」という苦情がでて、クラシック音楽はすぐに中止となった。
錦湖(クムホ)アシアナ・グループは、入札によって盗聴防止のセキュリティー会社を選定し、役員室に対して定期の盗聴検査を行っている。
GSカルテックスも、会長室など主要役員室を対象に、セキュリティー業者が年に2、3回の精密検査を行う。非常計画チームでは月3、4回、盗聴探知器でオフィスをチェックしている。
▲特需迎えたセキュリティー業界
「Xファイル事件」が発生して以来、セキュリティー業者は嬉しい悲鳴をあげている。
セキュリティー会社のクムソン・セキュリティーは「事件後、企業からの問い合わせが殺到し、実際、売上げも20〜30%伸びた」と言う。
業者によって盗聴検査費用に差はあるが、平均して1坪当たり6000〜1万ウォン水準だという。
企業にとって情報とセキュリティーはカネにつながる。今回の盗聴騒ぎを契機に、セキュリティーの重要性を改めて認識させられたという企業は多い。
ハイトビールとGSホルディングズは「盗聴について別に気にしていなかったが、今回の事件で、会長室など主要役員のオフィスに盗聴防止装置の設置や定期的なチェックを検討している」と話した。