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風のような話…アラスカに魅せられた日本人写真家

風のような話…アラスカに魅せられた日本人写真家

Posted July. 23, 2005 03:11,   

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エスキモの言葉で、「偉大な地」という意味のアラスカ。鬱蒼とした針葉樹林と氷河が溶け出した青白色の河川の水、江をさかのぼって上がってくる鮭の群れ、数万年もの氷河と巨大な氷壁が噴出す始原のエネルギーが人々の心を揺さぶるところだ。人が住まない地に思われがちだが、大学とゴルフ場を備えたれっきとした都市もあり、代々と故郷を守っている原住民も多い。

アラスカに魅せられて、一生をこの地とこの地の人々をカメラに収め続けている野生の写真家がいる。主人公は日本人の星野道夫氏。彼は19歳の時、偶然古本屋で出くわしたアラスカの写真集に魅了された。すぐさまカメラを持って、アラスカに飛んでいった彼は、エスキモ一家と一季節を過ごした後、東京へ帰ってきてはその6年後、アラスカ大学の野生動物管理学部に入学した。以後、約20年間、アラスカの自然と人を書き物と写真で記録した。

彼の写真は、「週刊朝日」など日本の雑誌にはもちろん、ナショナル・ジオグラフィックなど、著名な雑誌に相次いで載せられた。写真もよければ、多様なエスキモ人の人生を眺める著者の温かい視線が感じ取られる書き物が読む人の胸を打つ。

米国カリフォルニア生まれでアラスカに魅了されてエスキモ人になった米国人・ボップ・ユール氏。故郷に押し寄せた開発と豊饒を拒否して、無所有の生き方を貫くお年寄りの原住民・ケニス・ヌーコン。鯨を捕るエスキモ人の話から水しぶきを噴出す鯨、鮭を食い込む熊、形のない風の後姿、白夜の太陽に対する話まで、自然の中で素直に生きていく全ての物語がたんたんと広がる。

多くの人がアラスカを撮り話をしたが、彼のものが特別な理由は、その地に住む人々の視線で自然と人間を理解し、愛した結果物だからである。著者は、43歳だった1996年、千島カムチャカ半島の千島湖畔で寝ていたところ、熊の襲撃に合って命を失われた。本の題目通り、アラスカの風になったものだ。



angelhuh@donga.com