「ヨーグルトからイヤリングが出たと10億ウォンを要求した後、大統領府に陳情書を出し、それも受け入れられないとなると訴訟まで起こした」(乳製品製造会社A社)
「ご飯を混ぜて食べる過程でコメ虫が出てきたのに、無条件食品会社の責任だと主張して、1000万ウォンを要求してきました。断ったらインターネットに公開すると脅かされました」(食品会社B社)
不良食品を発見したといって、企業や行政機関を相手にお金を要求する「食パラッチ」が幅を利かせている。
不正・不良食品通報褒賞金を現行の最高30万ウォンから1000万ウォンに高める内容が盛り込まれた食品衛生法改正が昨年末、公論化された後、今年に入ってからこのような現象が大幅に増えた。
「食パラッチ」の主張の中には事実もあるが、とんでもなく誇張した事例が多く、企業はもちろん政府も頭を抱えている。
●インターネットの副作用か
A社は、インターネットで大統領府に送られた「ヨーグルトからイヤリングが出てきた」と言う陳情書のため、工場が調査を受けた。
公務員が生産職社員たちの耳まで検査したが、ピアスをした痕跡さえ発見できず、「問題がない」という結論が出た。しかし、ここで終わらず、現在、訴訟が進行中だ。
インターネット、カメラホン、デジカメの発達も「食パラッチ」の増加の原因だ。インターネットには、「ただでお金を得る方法」という文章が堂々と載せられている。食品会社が、「脅威」を感じる水準だ。
昨年8月には、仁川(インチョン)に住む30代の女性が8社の食品会社に電話をかけ、「この会社の製品を食べてお腹をこわし、3日間、ピアノ教習ができなかった」といって、数百万ウォンずつを要求したこともある。
A社の関係者は、「今年に入ってから、お金を要求する『食パラッチ』が2、3年前に比べ倍増した。食品業者は既に『食パラッチ・ブラックリスト』を作成して情報を共有している」と話した。
●行政機関にも難題
褒賞金を支給しなければならない行政機関も頭を抱えている。
最近、食品医薬品安全庁(食薬庁)が00年以後、不正・不良食品通報類型を分析した結果、当初、法を制定した主旨に合った危害食品通報は1.5%に過ぎなかった。
大半は零細事業者を苦しめる内容だった。食堂で出た髪の毛を写真で撮って通報したり、小型トラック1台で多数の食堂に食材料を納品する人を、営業届け出をしなかったという理由で通報する事例も少なくなかった。
食薬庁は今月28日から施行される食品衛生法改正を控え、「不正・不良食品通報褒賞金規定」に関して大詰めの調律作業をしている。
牛海綿状脳症(BSE)にかかった牛を食品原料に使用するような「決定的過ち」を通報した場合には褒賞金を大幅に上げるが、「些細な不良食品」は褒賞金額を低めるか、廃止する案を検討中だ。
jameshuh@donga.com