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[オピニオン]心の中の原始林

Posted June. 27, 2005 06:18,   

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哲人フリードリヒ・ニーチェは、人間の魂を「広々とした原始林」に比喩した。多くの学者は、この未知の危険な狩場で山や谷を迷いながら追跡と探索を怠らなかった。しかし、魂と学問の形で探求し始めたギリシャ時代から2000年以上が経った後、ニーチェは言う。「識者だと自負している我々こそ、我々のことは知らない」

◆「心の学問」である心理学が魂から意識へ、ひいては観察可能な行動に探求対象を変え、科学の地位を確立したのは19世紀後半だ。心理学は哲学的な思弁ではない、自然科学的方法を採択してから、早い発展を繰り返した。実験心理学が登場して以来、行動、認知、生理、動物、発達、人格、社会心理学などが基礎部門をなし、応用部門は産業、環境、教育、臨床、病理、犯罪心理学などへ分化し続けている。複雑な現代社会ほど、内面世界に対する探求の道も様々なだ。

◆観察と実験の範囲を超えて存在する「心」は、依然として未知の世界のままである。神経細胞一つに対する精密が特性が明らかにされても、精神病理に対する十分な解明が行われていないのと同じだ。しかし、心理学の発達とともに「原始林」は、多少「人工林」の様子を呈する。特に、心理テストによって知能と人性を把握できる地図が書かれ、相談と心理療法の開発で、特別関心の対象者を管理する技法も発展している。

◆最近、社会のあちこちで現われる「常識」を脱した逸脱犯罪は、みんなを不安にさせる。人間性の管理のための専門家の補強や、相談と心理検査の拡大策が話し合われているが、それは問題予防の出発に過ぎない。不適応者の数的増加は、全般的な社会環境の問題だ。無分別な商業主義と物質主義、社会的な疎外と他人に対する配慮の不足は、内面世界を荒廃にさせ、「原始林」の中の危険を極大化する。これまで韓国社会は、健全で健康な内面世界の秩序の問題について、極めて無関心だった。

柳弘林(ユ・ホンリム)客員論説委員(ソウル大学教授・政治学) honglim@snu.ac.kr