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[オピニオン]ツイスト・キムの涙

Posted June. 17, 2005 03:25,   

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同じ戦争映画でも『トロイ』の戦闘は、『プライベート・ライアン』よりロマンチックだ。刀は腕の延長だ。敵将の具合がどうか、戦士は刀の先だけがぶつかっても分かる。これに比べて、銃はちょっと遠い。弾丸が敵の体にめり込む衝撃を、こちらでは感じられない。テレビで生中継された湾岸戦争とイラク戦はまるでコンピューターゲームのようだった。対面接触なしに攻撃可能なテクノロジーが発展すればするほど、大量殺傷も、人間の残忍さも増加するのだろうか。

◆核爆弾だけが大量破壊兵器ではない。普通の人々には、人の批判の的になることほど恐ろしいことはない。特にコンピューターで寸時に広がるインターネット批判は、サイバー上の大量破壊兵器に他ならない。地下鉄からペットの犬の排泄物を片付けないで降りたため、「ゲトンニョ(犬の糞の女という意)」というレッテルを貼られた女性の映像と記事には、3万件以上の書き込みが付けられた。泥棒と誤解された女子高生が自殺するや、加害学生の名前と写真がインターネットで広がって、その学生らは転学もできない状況になった。

◆群衆の匿名性とサイバー空間の匿面性の中では、正常な人でも「テクノ暴民」に打って変わる。言語的な攻撃行動、つまり悪口はすればするほど攻撃性が高くなって、インターネットは醜悪な戦場になってしまう。相手に罪があろうがなかろうが、一旦攻撃し始めると、敵対心がさらに増幅されて、無差別な攻撃性を発揮するという人間心理が、インターネットほど赤裸々に現われる空間もない。

◆1960年代の映画『素足の青春』のツイストダンスで親しまれた老俳優ツイスト・キム(本名、金ハンソプ)が、サイバーテロのため自殺を試みたこともあると涙を流した。芸人にとって芸名は本名より大きな意味がある。その芸名が不法成人サイトのタイトルやインターネットアドレスに使われて、孫娘はからかわれ、夫人はうつ病になったというのだから、どれほど傷つけられたことだろうか。司法機関は曖昧な法律で、後手を拱いてばかりいてはならない。ネチズンも、もう気がつく時になった。これ以上、インターネット上の名誉殺人が起こらないように、自発的にインターネット良心キャンペーンでも展開しなければならない。

金順徳(キム・スンドク)論説委員yuri@donga.com