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人間に向けた土の無言の叫び

Posted May. 31, 2005 06:49,   

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テラコタ作業を主に行っている韓愛奎(ハン・エギュ、52)氏は、国内美術界でほぼ独歩的な存在だ。

テラコタ(Terra−Cota)は「焼いた土」という意味のイタリア語。上薬を塗らずに土そのまま釜で焼く作業だ。火、水、光、湿り気のような「運命的要素」と戦う煩わしくて、のろい作業だが、匠人に劣らない技術が重要だ。普通1180度高温で3日ほど焼くが、ガス火を上手に扱うことができなければ違う色に出るか、表面にひびが入って割れてしまう。

どうしても女性がするには大変な作業だ。しかし、女性作家では珍しく土作業をする韓氏の作品は技術的完成度においても画壇で指折り数えられる。

京畿道高陽市三松洞(キョンギド・コヤンシ・サムソンドン)韓氏のの家の地下に用意された40坪余りの仕事場はまるで建設現場のようだった。

土の塊と各種の工具があちらこちらに散らばっている作業場の片隅には、土で作ったハン氏の作品が釜に入るのを待っていた。

土がついた運動靴に荒い手、化粧気一つない顔にぎゅっと結んだ髪で1階から地下に毎日出社するという韓氏は「新聞記者になりたがる娘に『芸術家になりなさい』と勧めた母親が、『こんなに大変な事が分かったらさせなかった』と舌を打つほど」と話して笑った。

作家のトレードマークは、穏やかな茶色肌の丸やかな頬と厚ぼったい唇を持った豊満な体つきの中年の女人像。

作家は、これまで自分の顔のように丸くて丈夫な実際の大きさの中年の女人像たちを通じて、家事と育児、差別的な社会構造に縛られた女性の抑圧と解放、そして自然と生命の根源である母性的エネルギーを表現してきた。

初期には彫刻像の女人たちの表情に怒り、諦め、煩悶、絶望が多かったが、次第にその表情は喜び、期待、希望、ひいては菩薩のように豊かで淡々としたものに変わってきた。

ところで6月1日、ソウル鍾路区𨛗勳洞(チョンログ・クァンフンドン)インサアートセンター3階で開幕する個展「沈黙」は、これが果して韓氏の作品かと思われるほど大きく変わった。女人像はなくなり、人物と動物の形象を単純化して大きな石の塊のように表現した30点余りがお目見えする。

展示場はまるで古い巨石や廃墟になった遺跡地のようだ。観覧客たちは、その昔の古都を歩き回るように作品の間を歩き回りながら作品に寄りかかるか、座って休息を取ることができる。柔らかい作品に身を任せて、沈黙の中で休憩をしながら心の傷を癒すことができそうだ。

「この数年の間、欧州の至るところを行って来ました。崩れた柱たち、誰か無数に通り過ぎた路地、誰かを切なく待っていた街角を見て、ひとときは華やかな時もあった人、そのような人々が作った歴史を考えました。時間とともに蓄積された多くの話を盛り込んでいるが、沈黙している歴史に対する考えを今度の作業に盛り込んで表現してみました。」

「(これまで目的意識で)女というテーマを取り上げてきたのではなく、私が女だから女性の話をしてきただけ」という作家の言葉のように、韓氏の作品世界がこれから女性を超えて人間、生の根源に拡大されていることを見せてくれる展示だ。一方、今度の展示には「夢」を素材にした浮彫作品である「夢連作」30点余りも出る。展示は13日まで。お問い合わせは02—736—1020。



許文明 angelhuh@donga.com