
夢見ていた米LPGAツアーの初優勝は決して簡単に実現できるようなものではなかった。
ニューヨーク州コーニングCCで行われたLPGAコーニングクラシック最終日、カン・ジミン(25、CJ)選手は、14番ホール(パー5)で3オンに成功した後、2メートルのバーディーチャンスをつかんだ。しかし、どうしてなのか、「バーディーの弟はパーではなくボギー」という週末ゴルファーの間の笑い話のように、あっけない3パットでボギーを叩いてしまった。1打を失って中間合計12アンダーで首位に2打遅れた2位タイ。
優勝の希望が消えるようだった。しかし、いつものびやかな性格のカン・ジミンは全く揺るがなかった。15番ホール(パー3)に向かいながら彼女は心の中で何度も同じ言葉を繰り返した。「ジミン、大丈夫よ。あれがゴルフなんだから。これから頑張ればいいのよ」と。
自己催眠が効を奏したのか。下り坂の125ヤードで9番アイアンを手に取ったカン・ジミンが軽くティーショットをした。ピンの左側に落ちてグリーンの上を3回跳ね上がったボールはうそのように右側に方向を変え、カップの中に吸い込まれた。自分の5番目でありプロ初のホールインワン。
球が消えた瞬間、カン・ジミンはティインググラウンドでぴょんぴょんと飛び上がりながら「オー・マイ・ガッド」を叫んだ。それからギャラリーといちいちハイファイブをしながら興奮を隠さなかった。
確率が1万分の1にも及ばないというホールインワンが決定的な勝負先から出たもの。同じ組で先にティーショットした李ミナのボールがちょっと短いようだったので、クラブを長く取ったというのがカン・ジミンの説明。一気に首位タイに上がったカン・ジミンは、16番ホール(パー4)でバーディーを取り、単独首位に出た。
勝機を取った彼女に再び幸運がやってきた。17番ホール(パー4)でバーディーを奪った李ミナと首位タイで入った最後の18番ホール(パー4)。李ミナのドライバーティーショットが右側に偏って木下のラフに落ちた反面、カン・ジミンは3番ウッドを取ってフェアウェーに球を安着させた。
李ミナがレイアップで抜き出したセカンドショットは再びグリーン左側のラフに落ち、カン・ジミンは楽に2オンに成功。李ミナはサードショットもグリーンを外れ、エプロンまで広がってやっと4オンし、カン・ジミンは2パッティングで先にパーをセーブした。李ミナは2パッティングで痛恨のダブルボギー。
国内女子プロゴルフ最強でろくなスポンサーもないまま、厳しい境遇の中で米国でプレーしている李ミナが度重なった不運で優勝を目の前で逃した反面、カン・ジミンが事実上優勝を確定付ける瞬間だった。
最後組だった昨年のチャンピオンの「ゴルフ女帝」アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)は風邪の中でも16、17番ホールの連続バーディーで追撃の意志を見せたが、カン・ジミンを追いつくには遅れを取りすぎた。
金鍾錫 kjs0123@donga.com