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代表取締役から届いた手紙

Posted May. 28, 2005 03:19,   

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国際通貨基金(IMF)管理体制の波で社会全体が揺れた1998年の夏、三星(サムスン)重工業・建設機械部門の安福鉉(アン・ボクヒョン)総括代表取締役兼副社長に「第一(チェイル)毛織の再建」任務が任された。

第一毛織は三星グループの母会社で、韓国経済史と流れをともにしてきた会社だったが、1990年代半ばに入って連続赤字を記録するなど、グループ内の厄介ものに転落した状況だった。

会社の状況を把握する暇もなしに社長に就任するやいなや、まじめに事業場を走り回った安社長は、社員らの冷たくて暗い顔に大きな衝撃を受けた。

希望が見えない彼らの表情には、いつ倒産するか分からない会社だが、しばらく居残りながら給料でももらおうという考えがありありと見えた。

気の病にかかった社員、それを苦痛とする会社。果してどう治療すればよいのだろうか…。

安社長は電子メールを送ることにした。社員たちを励まして、その時その時に会社の現況を透明にして、生産現場の末端女子社員にまで社長の考えが明確に伝わるようにするためだった。

安社長は一応、会社が危機ということを率直に知らせた。危機を乗り越えるためには会社のビジョンと方向を全社員が知らなければならないと強調したし、それを実践した。安社長の本心は徐々に社員たちの心を動かして、結局革新に一緒に参加する雰囲気を作り出す動力になった。

コスト削減を達成した社員を公開の場で誉めたし、赤字事業を撤退させるときにはどうしてそうしなければならないのか、その切迫さを訴えた。社員への配慮が口先だけではなく、社長自らが後輩を大事にする先輩になると何回も念を押したし、率直な自己反省も躊躇しなかった。

この本は、著者が2004年に退任するまでの6年間、社員たちに送った電子メールの手紙のうち、82通(原稿紙7000枚分量)をまとめた本だ。赤字企業を成功裏に変えたある最高経営者(CEO)の献身と熱情、汗と努力がそのまま盛り込まれている。

安社長の努力は結果として現われた。就任1年で会社は440億ウォンの赤字から480億ウォンの黒字に転じており、2000年=800億ウォン、2001年=1200億ウォン、2002年=1600億ウォンの連続黒字を記録した。

安社長の経営技法は低調な事業の縮小と未来事業中心の構造再編、情報化、物流革新など真新しいことではなかった。しかし本を読んだら、経営は技法の問題ではなく、社員たちの心を一つに集める「人の問題」ということを考えさせる。

いわば、世界的な多国籍企業が成功裏に推進したという革新技法であっても、企業の体、すなわち社員たちの理解と参加が伴わなければ空振りに終わるしかない。そして革新の始まりと終りは結局、社員たちの心を動かすことであることを、この本はよく教えてくれる。



許文明 angelhuh@donga.com