米国が実戦配備している核兵器は５２００個。備蓄分まで入れると１万３５０個の上る。北朝鮮は６〜８個くらい、との推定が多い。核兵器の数だけを比較すれば、実に雲泥の差がある。しかし脅威感では同様だと、８日付のニューヨークタイムス紙が報道した。
同紙は、その理由を冷戦終結後の核兵器の政治学で求めている。
冷戦終結後の時代に「核狂気」が核恐怖の大きさを決定付ける。核保有国が核兵器を実際に使うか、テロリストに売り渡しかねない狂気をどう印象付けるかによって、恐怖感の度合いが変ってくるという。「核兵器の貯蔵庫」の大きさで国際舞台での力と権威が決定されていた冷戦時代の論理が、これ以上適用されないというものだ。
同紙は、「そのような観点に立てば、北朝鮮の核兵器６〜８個が、米国の核兵器と同じくらいの威力を持つ」と指摘した。そういう理由から、全世界の核兵器の９５％を持っている米国とロシアが、北朝鮮の核開発に手こずっているのだ、とも書いた。
北朝鮮が実際に核兵器の実験に踏み切り、１個を使用すれば保有している核兵器の１０％以上を実験で使ってしまうことになる。しかし、核実験が成功すれば残りの核兵器の「政治的な重さ」を高めてくれるため、決して損する商売ではない、とも言える。
実際、去年の大統領選で民主党候補だったケリー氏は、選挙戦を通して「実効性のない６者協議にすがっている間、共和党政権が北朝鮮に核兵器の開発時間だけを与えている」としてブッシュ政府を強く批判した。
北朝鮮の核兵器が１、２個だけのときは、実験用や輸出用で使う余力がなかったが、６〜８個となると「余剰核兵器」を保有することを意味する。余剰核兵器は、そのまま実験または輸出につながる可能性がある。
エルバラダイ国際原子力機関（ＩＡＥＡ）事務局長も、８日のＣＮＮインタビューで「北朝鮮が６個の核兵器をすでに保有しているというのがＩＡＥＡの推算か」という質問に対して、「それは我々の推定値に近い」と述べた。その上で、北朝鮮の核実験は東アジアの安保不安をもたらすだろう、とも語った。
srkim@donga.com
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