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安保理付託前に米国特使の平壌派遣すべきだ 韓前駐米大使が語る

安保理付託前に米国特使の平壌派遣すべきだ 韓前駐米大使が語る

Posted May. 08, 2005 23:26,   

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北朝鮮の核実験が切迫しているかもしれないという情報と観測が相次いでいる。2002年10月に北朝鮮の濃縮ウランプログラムが公開されてから始まった北朝鮮の核問題を巡る第2次危機は、今年2月10日の北朝鮮による核保有宣言を経て、いまはほぼ行き詰まりの段階に来ている感じだ。1993年から94年までの第1次危機のときには外務長官として、第2次危機では駐米大使として現場を見てきて、交渉と会談を指揮してきた韓昇洲(ハン・スンジュ)高麗(コリョ)大教授に緊急診断をお願いした。

◆高まった核実験の可能性

——単刀直入に聞きたい。韓米両国は、今の北朝鮮の核実験の可能性をどの程度までみているのか。

「今までは、『北朝鮮が核実験をすれば、中国が反発し、韓米両国は限界線(red−line)や、期限問題で自然な形で共同対処することになるだろう。北朝鮮としては、政治的に何も有利なものがない。だからしないだろう』という見方が多かった。しかし、今の北朝鮮は、自分たちが核兵器保有国であることを既成事実化する必要があると判断しているようだ。米国に対する核抑止力に自信が生まれたのでは、という気もする。だから、核実験を実施する可能性は高いとみる。北朝鮮としては、核実験をしたあと、『我々は核兵器を保有していると、すでに宣言したではないか』と言えるのだ」

——第2次危機の原因となった濃縮ウランプログラムも兵器化の段階まで進んでいるとみるのか。

「米国は、兵器化の段階ではないとしても、かなり近い段階まで来ているとみている。ウラン核兵器は、プルトニウム核兵器よりも探し出すのが難しい上に、大量化が容易であるため監視し難い」

——第1次危機のときより、第2次危機の方がもっと深刻だと言われているが、韓米両国の危機意識は第1次のときよりも強くないようだ。成熟しているからか。

「成熟したからというよりは、第1、2次危機を経験しながら、免疫ができたようだ。深刻さで言うと、今はかなり深刻な状況だ。しかし韓国政府だけでなく、米国政府にも、その深刻さを縮小解釈する傾向がある。2月10日に北朝鮮が核保有を宣言したとき、両国は基本的に『北朝鮮の交渉カードだ。(核保有を)確認できない』と評価した。韓国は、米国やその他の国が過剰反応することを憂慮した。米国は北朝鮮の核保有能力が高まったことを認めてしまえば、過去4年間の対北朝鮮政策が効果がなかったことを認める格好になる。しかし、最近の北朝鮮の行動をみると、自分たちの交渉力を高めたり、米国の関心を引きつけるためというよりは、核保有の地位を既成事実化しようとする狙いがあるのでは、とみられる」

◆第1次と第2次危機の違い

——北朝鮮は第1次危機のときと比べて何が変ったか。

「第1次危機のときは、核開発をしようとして中止したが、今回はこの際に核能力を一定水準まで確保しておこうとする狙いがある」

——北朝鮮が核兵器を持っているとしても、ミサイルに搭載できるほどの小型化には成功していないだとうという評価が多いが。

「(核攻撃が)米本土まで届かないのは確実だが、まずは日本や韓国が標的にはなり得ると考える。10年前には核兵器を1、2個保有している可能性があったが、今はもっと数が増えているだろう。核弾頭とは断定できないが、断定的に否定できる状況でもない。だから日本も安心できないのだ」

——民主党の大統領候補だったケリー氏は「北朝鮮が6〜8個の核兵器を保有している」と述べたことがあるが。

「少なくとも2、3個以上はあるだろうし、6〜8個の可能性もあると(米国では)判断している」

——「第1次危機のときより韓米間の共助は悪化しているのでは」という懸念もあるが。

「米国人の中に、そういうことを口にする人が多い。ブッシュ政権の関係者だけでなく、ブッシュ政権の政策に批判的で、対北朝鮮政策に穏健的な人々も『交渉をするときは、圧力と誘引策、ムチとニンジンを併せ持っていなければならないのだが、韓国はムチに関しては、口にすることさえも嫌がる。そんなで、北朝鮮が交渉に出てくると思うのか』という話をよくしている。2003年の夏まで、米国は北朝鮮との交渉に否定的だったし、韓国は対北朝鮮圧力に否定的だった」

◆中国の対北朝鮮影響力の限界

——中国は、北朝鮮問題の解決に対して積極的な意志があるのか。北朝鮮核問題を台湾問題に対する対米交渉のテコとして利用しているのではないか。

「米国内にも、そのような疑問がある。しかし、私が観察してきたところでは、中国は北朝鮮核問題を台湾問題や米中、日中関係のような、別の案件と連係させようとはしていないようだ。北朝鮮核問題自体が中国には脅威となり、北朝鮮が核兵器を対外に搬出することもあり得るし、そうなれば日本や北東アジアの他の国に核武装の口実を与えることになるからだ」

——中国が北朝鮮との貿易通路である丹東地域さえ封鎖すれば、北朝鮮も言うことを聞くだろう、との見方もあるが。

「中国に対北朝鮮影響力があることはあるが、大体は劇薬だ。それを中国が使うだろうか。北朝鮮は特有の『瀬戸際戦術』を米国だけでなく、中国に対しても用いているのだ。中国は北朝鮮に対して、3つの大きな目標がある。第一は、北朝鮮政権体制を存続させることだ。第二は、北朝鮮を非核化することだ。第三は、韓半島で戦争が起らないようにすることだ。3つのいずれも、中国の利益になるものだが、一つを過度に追求し過ぎると他の目標に影響が出る。だから、中国としては、均衡が必要なのだ」

◆6者協議と解決の期限

——今の時点で、6者協議の有用性はどの程度か。

「その有用性は、北朝鮮が交渉に応じる用意があることを前提に生まれるものだ。しかし、北朝鮮はすでに(核兵器保有のために)危険な峠、脆弱な峠を越えたつもりでいるだろう」

——北朝鮮が6者協議が復帰しても、実際には米朝間の水面下交渉になるしかないのではないか。

「米国は、6者協議が再開される前に(対北朝鮮で)融通性を発揮するのは非合理的だと考えている。私は、米国が交渉ではなく、接触するレベルで特使を平壌に派遣する方法が有用だと考えている。しかし、北朝鮮はすでに核保有を宣言している。今後、核実験まで実施した場合、米国は絶対に特使を送らないだろう。頭を下げて入る形に映るからだ」

——最近、ブッシュ政権では「北朝鮮核問題の国連安保理付託の可能性」が頻繁に取り沙汰されている。

「問題は、安保理制裁をやるかやらないかではなく、その前段階で北朝鮮が圧力を感じるだろうかということだ。そのため、中国と韓国は公式的に、表面的に安保理付託に否定的な態度を取るだろう。いずれにしても、安保理に持ち込まれれば中国の対北朝鮮影響力は強まる。安保理で、北朝鮮を助けることも、助けないこともあり得るからだ。中国に対北朝鮮でテコを与えることになる。1994年、北朝鮮核問題が安保理に持ち込まれたときも、中国が北朝鮮に対して『交渉に応じなければ、助けてあげられない』と言ったら、北朝鮮が再び交渉テーブルに戻ってきた。今回はどうなるのか…」

——北朝鮮を説得するための外交努力としては何が残っているのか。

「殆どないと思う。この頃は中国も(外交努力を)放棄しているようだ。中国は今、悩みが多いことはずだ。米国は、北朝鮮に対する外交努力を使い果たしたと考えているようだ」

◆予想される今後の状況

——北朝鮮が電撃的に6者協議の場に戻ってくる可能性はあるのか。

「可能性はあるけど、極めて期待薄だと思う。マイナス要因が多い。第一、北朝鮮は核能力に自信を持つようになった。第二に、自分たちが粘れば中国と韓国の(対北朝鮮で穏健な)態度が米国の強硬対応を弱めてくれると判断している。第三に、米国がイラクを侵攻したのは、イラクが核兵器を持っていたからではなく、持っていなかったからだと判断しているからだ」

——米国の態度も重要だが。

「米国の中間選挙が来年11月に行われる。もし、米国が北朝鮮核問題の安保理付託を推進しようとするなら、来年まで待つことはないだろう。今、イラクの新政府が苦戦してはいるけど、軍事的には米国もイラク問題では余裕が出てきている。イラク問題だけに集中していた米国マスコミの関心とエネルギーも、北朝鮮に向けられる環境が作られた。従って、米国が積極的に出るのではないかと思う」

——米国が積極的に出た場合、韓米の葛藤が本格的に表面化する局面に向かう可能性はないか。

「韓国内のマスコミと学界では、この問題に関して議論を活性化させる必要がある。そのような議論が、最近始まったような気もする。韓米両国政府間で、双方の首脳に信頼される人物同士で、共同の戦略について話し合うべき時点だ。ところが、最近の両国間の議論には信頼が欠けているように見える。第1次危機のときは、対北朝鮮で強硬策を取る場合でも、穏健策を取る場合でも、両国間でコードを合わせて共同の戦線を張るのが可能だった。韓米両国間の協議では「相手を説得できるか、説得されるか」のレベルではなく、「この問題をどう解決するか」を巡って、ブレインストーミングが行われるべきだ。今は、そのような討議を引っ張っていける人物が米国にも、韓国にもいない」

◆韓昇洲教授は、

△ソウル生まれ。65歳。

△京畿(キョンギ)高、ソウル大外交学科卒

△米バークレー・カリフォルニア大政治学博士

△高麗大政治外交学科教授

△外務長官(1993年2月〜1994年12月)

△国連キプロス特使

△東アジアビジョングループ(EAVG)議長

△高麗大総長代理

△駐米大使(2003年4月〜2005年2月)



bookum90@donga.com