景気は本当に回復しているのだろうか。本紙経済部は、実際の現場の景気がどういう状態なのかを調べるため、三星(サムスン)経済研究所と共同で消費と生産に関連した10の実物経済指標を選定して調査を行った。調査対象期間は昨年1、2月と今年の同期間だ。
取材結果、ソウルの中産層以上を中心に消費部門ではやや回復の兆しが見られたものの、全般的な現場の景気はまだ「春」とは程遠かった。原油高と建設景気の委縮によってガソリン、セメントの販売は昨年より減り、機械類の生産も低迷していた。地方では消費も依然として冷え込んでいるため、景気回復までは時間がかかりそうだ。
経済専門家の間では最近、政府が打ち出している回復の兆しが「希望交じりの観測」で経済を上向かせようとする「トークアップエコノミー(Talk Up Economy)」に止まりかねないという指摘も出ている。
▲ソウルの中産層と地方の庶民層の消費、明暗分かれる〓10の実物経済指標のうち、デパートの紳士服売り場、ファミリーレストラン、洗濯機の販売の3つは、消費回復の動きが明確な方だった。
ロッテ・デパートの紳士服売り場の今年1、2月の売上高は、昨年同期間より6.5%増えた。マルシェ、アウトバックステークなどのファミリーレストラン業界も、同期間の売り上げが約10%増加した。LG電子の場合、今年1、2月の洗濯機売り上げは、使っていた洗濯機の価格を反映して高級型ドラム洗濯機に切り替える「補償販売」の影響などによって、昨年より20%ほど増えた。
しかし、同じ消費部門でも遊園地の入場客はかえって減った。ソウル蚕室(チャムシル)ロッテワールドの入場者は、昨年1、2月107万4000人から今年98万5000人へと9.0%減少した。
東大門(トンデムン)の衣類卸売り商店モールの「ヌジョン」を訪れた地方商人のバスは、今年1、2月745台で、昨年の883台に比べて18.5%が減り、厳しい地方経済の現状を反映していた。
国内自動車の販売台数も昨年より8.4%減少した15万3000台に止まった。
▲建設・生産現場は相変らず寒風〓韓国セメント工業協会が発表した1、2月の国内セメント出荷量は430万トンで、昨年同期間(620万トン)より44.2%減少した。双竜(サンヨン)洋灰のセメント営業企画チームの白承明(ペク・スンミョン)課長は、「建設景気の悪化と寒さのため、セメントの販売が減った」と説明した。
原油高の影響でガソリンと軽油の消費も減少した。1月のガソリンと軽油販売量は、昨年よりそれぞれ1.02%と4.8%減少した。
機械類生産の基礎素材として使われるベアリングの販売も低調だった。国内最大手ベアリングメーカーのFAGベアリングコリアの1、2月の輸出は、昨年同期比で12%増えたが、内需販売はかえって5%減った。
また、貨物の物流量を示す大型貨物車(4種)と特殊貨物車(5種)の高速道路通行料も、昨年1、2月の776万2739台から今年は710万3470台へと9.3%減少した。