Go to contents

[オピニオン]人権の歴史

Posted March. 13, 2005 23:03,   

한국어

「人権文化」が形成されるまでは長い年月が必要だった。古代ギリシャ人はギリシャ人と野蛮人の区分と通じて、自分たちの政治的自由と平等を正当化し、ローマ人は血統と業績によって権利を配分した。人類レベルの兄弟愛という教理にも関わらず、中世の十字軍は「人間」と「異教徒の犬」を区分した。全ての人間が平等な権利を持つという考え方は近代になってからも馴染みが薄かった。

◆人権思想は差別秩序を打破しようとする18世紀の革命の過程で大きく発展した。ジェファーソンとラファイエットは、人権の絶対性と普遍性を進歩の象徴として派手に打ち出した。米国独立宣言文、フランスの人権宣言、英国の権利章典は人権の位相を高めた歴史的記録物である。しかし、ジェファーソンでさえも、一方では黒人の奴隷を使いながら、もう一方では全ての人間が奪うことのできない権利を創造主から与えられたと信じていた。本物の人間と偽の人間の区別は、理性的主張とは別途に深い根を持っていた。

◆人権に対する世界的な関心は第2次世界大戦が終ってから現れ始めた。その1次的な結実が1948年の世界人権宣言だ。草案の作成に参加した各国の代表らは、全ての人間が生まれながらに持つ自由と平等を、自明の真理として受け入れた。もちろん、亡命の権利や管轄権問題などをめぐって、国家主権と国際規約の間で葛藤が生まれたりもしたが、合意に成功した。その根拠は、戦争の残酷さとナチズムに対する経験だった。このように人権に対する信念は、抽象的道徳ではない実存的苦痛の記憶の中から得られたことだった。

◆人権は主権と緊張関係にある。このほど、米国務省の年次人権報告書の発表とこれに対する中国とロシアの対応を見れば、人権の普遍性の確保がどれほど至難な課題であるかが見て取れる。強大国が相互牽制のため相手国の人権状況に口を出し始めれば、人権理念は権力政治の道具に転落してしまう。戦争が人権の切実さを悟らせたのに、人権がイデオロギーに変質し、葛藤をエスカレートさせる要因になるのならば、アイロニーだと言わざるを得ない。

柳弘林(ユ・ホンリム)客員論説委員(ソウル大学・政治学) honglim@snu.ac.kr