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米国の選択、保守主義

Posted March. 07, 2005 22:57,   

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2002年3月24日、米大統領専用機の「エアフォース・ワン」の中で、予定になかった日曜礼拝が行なわれた。長老教の牧師の娘であるライス(当時)ホワイトハウス国家安保補佐官(現国務長官)が礼拝を執り行い、「預言者」の別名をとるヒューズ大統領公報秘書が聖書を読み上げた。40人余りが出席した礼拝は、賛美歌405章の「Amazing Grace」を斉唱して終わった。

キリスト教が米政治の心臓部ともいえるホワイトハウス、さらには米社会全体にいかに浸透しているかを象徴的に示すエピソードだ。

▲キリスト教(evangelicalism)の政治的影響力〓昨年の米大統領選挙は、宗教が選挙の流れを左右するほど、政治に大きな影響力を持っていることを確認させた。

特に全人口の21〜26%を占める福音主義キリストの信者であるブッシュ大統領への支持は、彼の当選に決定的な役割を果たした。

キリスト教徒全体からすると、ブッシュ大統領を支持したのは59%と半分を少し上回る程度だったが、聖書の無誤謬を確信する福音主義キリスト教徒では、78%もの人たちがブッシュ大統領に票を入れた。昨年、共和党員として新たに有権者登録をした400万〜500万人のうち、大半が福音主義キリスト教徒という分析もある。

福音主義キリスト教の政治への影響力は、一部の指導者たちがキリスト教保守主義を、米国の向かうべき望ましい未来と位置づけ、現実の政治と深く結びつけていることからますます拡大している。

▲政治と手を組んだ教会〓昨年ニューヨーク・タイムズ紙は、14人の保守的な教会の指導者が、2003年の夏ワシントン周辺で行なった非公開会合の内容を報じた。

「米国家族連合」の創設者であるウィルダム牧師の主導で行なわれた同会合では、同性間の結婚を禁止するよう憲法を改正することなど、さまざまな議論が交わされた。

ちょうど時期を同じくして民主党大統領候補のケリー上院議員の選挙区であるマサチューセッツ州裁判所が、「同性カップルに対する権利制限は州憲法に違反する」との判決を下し、ケリー候補もこれを支持していた。キリスト教団体は直ちに「ケリー候補は家族概念の破壊者」という主張を繰り広げ、キリスト教挙げての結集運動を展開した。これは既に計画されていたようなものだった。

米国は、修正憲法第2条で政治と教会の分離をうたっている。しかし、政治と教会の「異種交配」はこのように静かに進められている。

▲キリスト教保守主義の歴史〓米国のキリスト教がいつも保守的な政治色を帯びていたわけではない。1960、70年代はリベラルキリスト教が揺るぎない全国組職を抱えて選挙に影響力を行使していた。

ジョンソン(テキサス)、カーター(ジョージア)のような信心深い南部出身の民主党候補が大統領になった背景にもこうした影響力があった。

フランス人文明批評家のソルマンは、2004年著書の『アメリカ文明論(Made in USA)』で、「しかし、1960年代の自由主義的なヒッピー文化を象徴するルールのない生活、自分勝手に服を着る風潮などが、保守的キリスト教徒の結集をもたらした」と書いている。

「メリークリスマス」の代わりにキリスト教を匂わせない「ハッピーホリデー」と年末の挨拶言葉を変えたほうが、政治的に正しいという自由主義的な考え方の波及も、保守的キリスト教の団結を促した。1973年米連邦最高裁判所による「妊娠中絶は合憲」とする判決が、決定的な役割をしたのは言うまでもない。

「キリスト教連合」のような組織はこうした流れのうえで生まれた。同組織は「家族に帰ろう」と訴える。

ヘリテージ財団のエドワーズ研究員は、「各家庭に送られるキリスト教団体の『ダイレクトメール(DM)』は、キリスト教的な保守理論の拡大に大きく貢献した」と話した。

▲福音主義キリスト教の政治的自信感〓ブッシュ大統領の再選をきっかけにキリスト教的な生活方式を強調する声がより強まっている。

昨年末にも「メリークリスマス」の挨拶言葉をめぐる論争が再燃した。「メリークリスマスをよみがえらせる会」と名乗る団体は、全国チェーンを持つデパートなどに対し、「インテリアから消えたクリスマスを戻すこと」を求めた。

また、公立学校で生命の進化論ととともに「知的設計論(Intelligent Design)」を教えるべきだと主張した。「知的設計論」とは、生命体の複雑な進化現象は超自然的な絶対者の設計なしにはできなかっただろうと唱えるものだ。

決して聖書を引用することなく、純粋な科学理論に「包装」しているとはいえ、福音主義者の狙いは明らかだ。

このような福音主義キリスト教の自信感は社会の対立を増幅させている。

ニュージャージー州の一部の教育庁が、学校でクリスマスキャロルを歌うことを禁じたほか、カンザス州ではクリスマスツリーを「コミュニティーツリー」と呼ぶことを呼びかけるキャンペーンが開かれた。

▲不安の民主党〓民主党はキリスト教保守主義の拡大によって、再執権の機会が減るのではないかと懸念している。先月26日ジョージア州リトニアで開催された「黒人連合大会」への出席者は、「保守陣営は巧みに議題を設定して消耗的な論争を引き起こしては、それを共和党の勢力結集に活用する」と批判した。

ジャクソン牧師は「周りでめったに見ることのない数少ない同性結婚を、社会的論争に仕掛ける勢力がある」と声を高らかにしたが、保守キリスト教団体が作り出す宗教論争に次第に埋もれているように思える。



權順澤 金昇鍊 maypole@donga.com srkim@donga.com