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[オピニオン]ベネチア助け合い作戦

Posted February. 24, 2005 23:03,   

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ルネサンスはフィレンツェから始まり、ローマを経て、ベネチアで幕を閉じる。黄金時代を謳歌していたベネチアの絵画は、ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ティントレットらの巨匠を輩出した。ベネチアはオペラが誕生した故郷のようなところであり、都市全体が世界文化遺産に指定されている。建築の美しさについてはあえて説明するまでもない。ベネチアでルネサンスが結実した背景について、歴史家たちは出版とマスコミを挙げる。

◆ベネチアの出版業は欧州全体で刊行される本の半分以上を制作するほど繁盛した。教皇の権威が真に聖の聖なるものとされていた時代にも、ベネチアではいかなる「不穏な」内容も出版する自由があった。カトリック教会に半期を翻した人に「ベネチアに行け」という言葉は思想的な駆け込み寺を捜し求めて出かけろという意味だった。「言葉」と「考え」が文化を花咲かせたわけだ。1787年にここを訪れたゲーテは「私を取り囲んでいるすべてが尊さに満ちている」と賛辞を惜しまなかった。

◆ベネチアは、荒涼たる干潟の上に木の棒杭をいっぱい打ち込み、その上に建てた都市だ。浪漫と情趣が漂っているこの都市が激しい生存闘争の結果物だということを観光客たちは忘れがちだ。1966年、この都市に突然の高波が押し寄せる災いが発生した。この際、各国はベネチアを助けるために足並みをそろえた。世界がベネチアに負った文化的な負債を返済する機会がやってきたと…。近頃ベネチアが海水に浸るのは1年のうち200日以上だ。

◆ベネチアを海水面の上昇と地盤沈下から保護するための取り組みが具体化されている。高波が発生した際、水中の扉を引き上げて海水の流入を防ぐ「モーズプロジェックト」がそれだ。ベネチアの初期の開拓者たちが各自の力で海水と戦ったとすれば、今は全世界が共同戦線を張っている。「人は去っても彼が残した文化は永遠だ」という格言がしみじみと思い出される。文化と知識がものをいう21世紀は「ニュー・ルネサンス」と呼ばれる。韓国も、文化国家を目指し、ベネチアをうらやむならば、ルネサンスの歴史書を読み直すことを勧めたい。

洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員chansik@donga.com