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[オピニオン]遺産

Posted February. 11, 2005 22:47,   

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朝鮮(チョソン)時代、両班家では財産の相続と分配に関する分財記を作成した。家屋、土地、奴婢、家財道具を息子と娘にどう分配するかを詳細に記録した文書だ。現存する分財記の中で「西迆先生母夫人昆文記」と「栗谷先生兄弟分財記」はいずれも国宝に指定された。父親が亡くなる前に直接財産を分配してくれた分給文記と父親が亡くなった後で兄弟が合意して財産を分ける和会文記もある。

◆全羅南道海南郡(チョルラナムド・ヘナムグン)のサムサンボルの大地主海南チョン氏家には、子孫均分の伝統があって嫁入りした娘にも財産を分配した。孤山(コサン)尹善道(ユン・ソンド)の4代子孫である漁樵隠(オ・チョウン)尹孝貞(ユン・ヒョンジョン)は、その家の女性と結婚して妻の家の多くの財産を受け継いだ。しかし、漁樵隠は財産の長男相続の伝統を立てた。妻の家の遺産と呼ばれた財産を長男の子孫に集中させることで、海南尹氏家では尹善道と尹斗隺(ユン・ドゥソ)という傑出した文人と芸術家が輩出される。子孫均分の海南チョン氏が長男相続の海南尹氏家を中興させたわけだ。

◆金持ちの子に生まれたことを英語式表現で「銀さじを口にして生まれた」と言う。お金持ちの家で銀食器(silverware)を使ったことで生じた言葉だ。米国では富裕層の子供が私立大学を重ねて中退するか、卒業後に就職できずお酒、麻薬、セックスに溺れる現象を「銀さじ症侯群(silver spoon syndrome)」と言う。

◆親が生前に分財をまともにしておかなければ子孫が先祖の命日や伝統的な祝日に会って友愛を交わす代わりに葛藤を生み出すことになる。お正月連休に父親が譲った土地の分配をめぐって腹違いの兄弟間で猟銃殺人劇が起きた。遺産は海南尹氏家のように人物を育てる滋養分にもなり得るし、「銀さじ症侯群」のように子孫を駄目にする毒にもなり得る。子孫に葛藤と憎悪の種になる遺産なら、むしろ死後社会還元の遺言公証をしておいた方がいいかも知れない。

黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員hthwang@donga.com