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[オピニオン]WIG

Posted January. 31, 2005 23:23,   

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1976年、西側の偵察衛星はカスピ海で、水面すれすれに低く浮いて時速500km以上のスピードで移動する不審な物体を見つけた。当時の常識では、それは船でも飛行機でもなかった。船にしてはスピードが速すぎたし、飛行機にしては高度が低すぎたのだ。軍事専門家らはその物体を「カスピ海の怪物」と呼び、その正体を突き止めるために奔走した。

◆後に明らかになったその物体の名前は「WIG(wing-in-ground effect ship)」。旧ソ連が1960年代から軍事目的で開発した、新しい概念の輸送手段だった。WIGは、翼が海水面に近付けば近付くほど船体を支える揚力が高くなる「地面効果」を基本原理に活用している。この原理により、一般の船では考えられない高速が可能になり、航空機の半分以下の費用で大規模の貨物や人を運ぶことができる。国際海事機関(IMO)はWIGを船舶に分類しているが、一言でいえば、飛行機と船の長所を取ったものといえる。

◆WIGの概念が韓国に初めて紹介されたきっかけは、1993年、韓−ロシアの科学技術交流事業だった。しかし、当時導入されたWIGの設計技術は、湖や川のように波高の低い海上でしか運航できないという限界があった。これまでこの分野を絶えず研究してきた韓国海洋研究院がその限界を克服する技術開発に自信を持つようになったようだ。先日発表された10個の大型国家研究開発(R&D)実用化事業の一つとしてWIGが含まれていることがそれを物語る。

◆政府の発表通り、5年間1200億ウォンを投入してWIGの実用化に成功すれば、北東アジアの海上物流システムに画期的な変化をもたらすことになる。そうなれば、韓国が「北東アジア経済の中心」まではいかなくても「物流の中心」にはなれると期待できる。せっかく決まった政府支援だ。WIG事業を確実に推し進めてほしい。「一人の天才が10万人を養う」といわれるように、今や一つの先端技術が国の将来を左右する時代なのだ。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員songmh@donga.com