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[オピニオン]遠い国、隣の国

Posted January. 21, 2005 22:51,   

한국어

韓国人は昔から隣人に恵まれていなかった。5000年の歴史でその大半をひたすらの思いで中国を慕い、日本の植民地時代には日本が、独立後は米国が事実上の唯一無二の「外国」だった。「外国」が変わる度に、その外国の人たちと付き合い、その国の文化に親しんだ慕華や親日、新米の勢力が、次々と支配層のエリート階級を形成していた。しかし、このような「片思いの外交」は愛憎による葛藤や苦しみという結果をもたらすものだ。韓国人の排他性はこうした外国、外国観に根ざしているかもしれない。

◆徳成女子大学産業美術学科の李元馥(イ・ウォンボク、59)教授が描き続けてきた漫画『遠い国隣の国』シリーズが、12巻目の「米国—大統領篇」を最後に、20年間にわたる長い道程にピリオドを打った。1988年のソウル・オリンピックの前までは、欧州を「遠い国」として認識していた韓国人に、中国や米国、日本の他にも色々な外国が存在することを気づかせてくれた力作だ。多くの人たちが同シリーズに対し、韓国人の国際的な視野を広げてくれた「漫画世界史」と評価しており、著者を真のコスモポリタン(cosmopolitan・国際人)として尊敬する。

◆著者は高校生の時に外国の漫画を書き写すバイトをしたことがきっかけで、漫画に出遭った。ソウル大学建築学科卒業後はドイツに渡り、ミュンスター大学デザイン学部でデザイナーの修士号を取得し、さらに同大学の哲学部で西洋美術史を専攻した。こうした多彩な学歴や10年にわたる欧州留学中の放浪、作家自身の旺盛な知的探究、足の労を厭わず日本と米国を数十回も訪れていたことなどが、『遠い国隣の国』の糧になった。

◆地政学的には遠いが、心情的に近い国がある一方で、距離は近いけど、にらみ合っている国もある。この点ではロシアをはじめ朝鮮半島周辺の国々は、韓国にとって必ずしもよき隣人だったとは言えないだろう。国内外で1000万部以上も売れたベストセラーの『遠い国隣の国』が、私たちに教えてくれたのは「世界は広く、隣人は多い」ということではないだろうか。

呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員、 oscar@donga.com