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映像を撮られた私は隠れ、拡散したあなたは笑っていた

映像を撮られた私は隠れ、拡散したあなたは笑っていた

Posted April. 12, 2024 09:22,   

Updated April. 12, 2024 09:22

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名前の通り、まっすぐに、おとなしく生きてきた中年のジョンスン。これ以上ないほど平凡に生きていた彼女が、デジタル性犯罪に遭い、経験する感情の波を描いた映画「ジョンスン」が17日に公開される。この映画は、世界の19の映画祭に招待され、第17回ローマ国際映画祭で審査員大賞、主演女優賞を受賞し、作品性が認められた。

地方小都市の小さなアパートに住むジョンスン(キム・グムスン)は、目覚ましが鳴ると起き、出勤準備をして食品工場に向かう。工場で彼女の名前は「おばさん」。誰が誰だか分からない白い作業服を着て、青二才の責任者の機嫌を一日中うかがう。結婚を控えた娘が貧乏たらしく節約することに心を痛めるが、他にしてあげられることがないので、容器いっぱいにおかずを作る彼女の日常は、どこにでもあるような平凡なものだった。

そんなある日、単調なジョンスンの日常にヨンス(チョ・ヒョンウ)という「石」が投げ込まれる。工事現場で働いていて怪我をして工場に流れてきたというヨンスのことがジョンスンは気になる。旅館で間借りするヨンスに同情心を抱き、次第に距離を縮めていく。出勤前に近くの湖畔にドライブに行く時、彼女はおばさんでも母親でもなく、完全に「ジョンスン」になる。

しかし、ジョンスンの小さな幸せは一瞬で崩れる。一夜を共に過ごし、楽しく歌を歌う彼女の姿を撮影したヨンスがそれを工場の人たちに見せ、その映像が街に広まる。ジョンスンは恥ずかしくて家に、部屋に隠れた。しばらくしてある日、笑って元気そうなヨンスを目撃し、彼と対面することを決心する。映画「蔚山の星」(2022年)、「眠り」(2023年)などで強烈な印象を残した女優キム・グムスンがジョンスン役を演じる。本当に私たちのそばにいそうなおばさんであり、母親の姿でスクリーンを支配する。

チョン・ジョンヘ監督(29)の長編デビュー作だ。同意なくプライベートな映像が流出する悪夢を経験する中年女性をリアルに描いた。チョン氏は、「偏見で疎外され、死角地帯に置かれた人々の話をしたかった」と語った。


崔智善 aurinko@donga.com