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大谷の太極旗、孫興民の日の丸

Posted March. 22, 2024 08:10,   

Updated March. 22, 2024 08:10

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「Let's go to France together(フランスへ一緒に行こう)」

サッカー韓国代表のサポーターズ「レッドデビルズ」が1998年フランスワールドカップ(W杯)アジア最終予選の韓日戦が行われた1997年11月1日、ソウル蚕室(チャムシル)総合運動場に掲げた応援フレーズだった。韓国はW杯本大会出場が確定した状態で試合を行った。一方、日本はこの試合に勝ってこそ、史上初のW杯出場への希望をつなぐことができた。結果は日本の2-0勝利だった。

レッドデビルズと日本サポーターズ「ウルトラニッポン」は試合が終わった後も応援合戦を続けた。ウルトラニッポンが「韓国!韓国!」と連呼すると、赤い悪魔たちも太鼓の音で応えた。当時、レッドデビルズ会員の一人は東亜(トンア)日報のインタビューで「韓国が完敗して残念ではあるが、遠方から駆けつけてくれたウルトラニッポンの友人たちが喜ぶ姿を見て慰めにすることにした」と話した。

同日、東亜日報にはイチロー(鈴木一朗)を批判する記事も載っていた。同日、蚕室球場で行われた韓日プロ野球ゴールデンシリーズ第1戦に出場したイチローは、守備だけをしては打席には入らず試合から外れた。東亜日報は、「6日前に怪我をした腰の状態が悪化した」と伝えながらも、「韓国投手に三振でも食らうと、日本最高スターのプライドが傷つけられるので」自ら交代を希望したと疑った。記事の見出しも「傲慢なイチロー」だった。

イチロー以来、日本最高のスターは断然大谷翔平だ。イチローと違って大谷は「韓国でこんなに愛された日本人が他にいただろうか」と思うほど人気が高い。(ガールズグループ「TWICE」の日本人メンバーのサナファンの皆さん、ごめん!)ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平は2024年の米大リーグ開幕2連戦「ソウルシリーズ」を控えて、太極旗の絵文字の前で韓国ファンに「指ハート」をを作って見せたり、入国の記者会見でも「韓国は私が一番好きな国の一つ」と話し、ファンの心をさらに鷲掴みにした。

もし孫興民(ソン・フンミン)がトッテナム・ホットスパーの選手代表として日章旗の絵文字の前で指ハートを飛ばして「日本は私が好きな国の一つ」とインタビューしたとしたらどうなるだろうか。それでも韓国のファンは孫興民を応援してくれるだろうか。大谷の太極旗は感嘆符で終わるが、孫興民の日の丸には疑問符が残る。

韓国と日本は結局、フランスW杯本大会に一緒に出場した。W杯が終わって3ヵ月後、金大中(キム・デジュン)大統領は日本の国会で、「50年もない不幸な歴史のために、1500年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味にするのは本当に愚かなこと」と話した。それでも「金大中精神」を口癖にしている政治家の中には総選挙を控えて反日感情を煽る人が少なくない。

レッドデビルズがフランスに一緒に行こうと日本を応援することができたのは、韓国がその試合を落としても大きなダメージがなかったからだ。日本に一方的にやられるばかりだった私たちは、もはや孫興民が日の丸の前で笑っても「資本主義の微笑」と見過ごせるくらい、強くなったのではないだろうか。日本のメディアで「日本のない反日」と表現する一方的な反感を捨てきれずにいることこそ、逆にプライドを傷つけることなのではないだろうか。