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「牡蠣の国」の名声を守るには

Posted March. 21, 2024 08:31,   

Updated March. 21, 2024 08:31

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全国に点在する貝塚で牡蠣の殻の割合は圧倒的に大きい。四季折々に採取できる貝類が多様であるにもかかわらず、毒素が発生し、特定の時期には食べられない牡蠣の割合が圧倒的に多い。このことから、古くから牡蠣が韓半島の海岸で繁栄していたことが推測できる。

古くから牡蠣は麦穂が打たれたら食べない、桜が散ったら掘らないという言い伝えがある。欧州では、「R」の字が入らない5月から8月(May, June, July, August)は食べてはいけないという言い伝えがある。牡蠣はこの時期に産卵期の毒素が生成され、青臭い味がする。

水産市場を訪れた外国人は、牡蠣を網にいっぱい入れて重量単位で販売している光景を見ると驚く。韓国のように安い値段で牡蠣を食べることができるところが少ないからだ。それだけ南海、西海は牡蠣養殖に最適な環境を備えており、収穫量が多い。韓国は安い価格で牡蠣を思う存分楽しむことができるうえ、今では一年中、牡蠣を食べることができる道が開かれた。

最近、ゲストを招待するときは、個体牡蠣(従来の群れ養殖とは異なり、個体間隔を空けて養殖した牡蠣)をよく出す。この冬、我が家を訪れて個体牡蠣を味わった知人は10人ほどいるが、みんな初めて食べたそうだ。個体牡蠣は真牡蠣に比べて格段に大きく、濃厚な味と香ばしさが絶品だ。何より、四季を通じて食べられるという利点がある。

一般的に市販されている牡蠣は、殻を含めた重量が100グラム未満だ。個体牡蠣は、真牡蠣と同様、染色体が2対の2倍体(100~150グラム)と染色体が3対の3倍体がある。3倍体は200~300グラムと大人の手のひらほどの大きさだ。成長率も真牡蠣に比べ2.5~3倍に達する。生殖器官の発達に使用するエネルギーを成長に利用し、早く大きく成長する。また、毒を作らないため、一年中生産することができる。

国立水産科学院は2014年に3倍体牡蠣生産のための4倍体技術を獲得した。人工種苗養殖場で4倍体牡蠣の精子と2倍体牡蠣の卵を受精させ、3倍体牡蠣の生産に成功した。15年に大量生産のための実験養殖を推進し、16年に漁民に母貝を分譲した。牡蠣の養殖は統営(トンヨン)の海に70%が集中しているが、個体牡蠣の養殖場は統営市、巨済(コジェ)市、南海(ナムへ)郡、高城(コソン)郡、高興(コフン)郡、新安(シンアン)郡など南海岸全域に広がっている。従来の牡蠣養殖場で使用する発泡スチロール素材のブイ(1万平方メートル当たり約1600個)の使用量を個体牡蠣養殖では大幅に削減し(1万平方メートル当たり600個)、環境にやさしい養殖技術を実施している。

付加価値の高い牡蠣の生産に劣らないのが養殖場の衛生環境だ。生牡蠣が好きだった人も、ノロウイルスに感染して苦しんだ後、牡蠣を敬遠するケースが多い。浄化設備が不十分な養殖場近くのトイレや漁船・釣り船などから流入する人糞の害は深刻だ。

2012年に米食品医薬品局(FDA)は、韓国の牡蠣養殖場で食中毒の原因菌であるノロウイルスを検出した。養殖場に人糞が流入していることを指摘し、韓国産牡蠣の輸入を全面禁止した。その後、南海岸の複数の自治体は海上公衆トイレを設置するなど環境浄化に努め、輸出は再開された。自治体と養殖場漁民の環境改善のための努力は続いている。それでも、依然としてノロウイルスに感染して苦しんだ経験談をよく耳にする。牡蠣の消費市場を拡大する近道は、ノロウイルスからクリーンな海を作ることだ。