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公示価格現実化計画の廃止、いきなり総選挙前に打ち出しても良いのか

公示価格現実化計画の廃止、いきなり総選挙前に打ち出しても良いのか

Posted March. 20, 2024 08:36,   

Updated March. 20, 2024 08:36

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政府が文在寅(ムン・ジェイン)政権で推進した「公示価格現実化計画(ロードマップ)」を全面廃止すると明らかにした。政府は昨日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)で開かれた21回目の民生討論会で、現実化計画について「懲罰的課税」「無理な計画」と強く批判した。急激に上昇した不動産税の負担を減らすという趣旨だが、具体的な代案を示さないまま総選挙直前にひとまず廃止方針から打ち出したのは、租税ポピュリズムという指摘を避け難い。

2020年に樹立された公示価格現実化計画は、現実化率(相場に対する公示価格の比率)を毎年段階的に引き上げ、2035年までに90%に上げることを目標にしていた。住宅価格が急騰した時期に現実化率まで急激に引き上げ、保有税負担が過度に大きくなったという批判が多かった。通常、年3%水準だった公示価格の上昇率は、計画導入後、年平均18%も上昇した。住宅価格が下落傾向に転じると、公示価格が実取引価格より高くなる価格の逆転現象まで現れた。

尹政府は、政権初期から公示価格現実化計画の副作用を補足すると言ったが、今日か明日かと時間だけを引きずってきた。現実化率をロードマップ発表以前の水準である69%に凍結する臨時対策を2年連続で継続した。当初、昨年下半期中にロードマップ修正案を示すと言ったが「原点からの再検討」に方向を変えた。すると、発注した研究結果が出る前に突然廃止方針を打ち出した。不動産公示法の改正が必要な事案なので野党の協力を必要とするが、法が通過できなければ臨時の方策をもう一年使えば良いというのが政府の立場だ。

政府が現実化計画廃棄を通じて税負担軽減だけを強調し、不動産公示価格制度の目的と機能を見過ごしているという指摘もある。最初に公示価格の現実化が必要だという世論が形成されたのは、相場と公示価格の行き過ぎた乖離、高価住宅が税金を少なく収めているという公平性などの問題があったからだ。公示価格は健康保険や基礎老齢年金、障害者年金、国家奨学金など67の行政・福祉制度の基準指標として使われるため、慎重な検討が必要だ。

その場しのぎの処方ではなく、国民の負担を減らしながらも、租税正義に見合った中長期プランを精巧にまとめる必要がある。ソウルと地方、マンションと一戸建て住宅など地域別・類型別・価格帯別の不均衡を解消し、不透明な価格算定問題を解決できる対策も探さなければならない。総選挙の直前に税負担を減らすとして先に廃止方針を打ち出し、代案は後で模索するというのは合理的な政策アプローチではない。