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主張することと証明すること、「正解」を作る2つの方法

主張することと証明すること、「正解」を作る2つの方法

Posted July. 08, 2023 08:13,   

Updated July. 08, 2023 08:13

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「親子関係が疑われる場合、確認する適切な方法は何ですか」

韓国科学技術韓林院が6日、「福島原発処理水の海洋放出の国内影響」をテーマに開いた討論会でこのような質問が出た。答えは二つ提示された。一つは「息子に母親をおばさんと呼ぶように言って、おばさんと言ったら他人だ」、もう一つは「DNA検査をする」だった。どちらが正解だろうか。

処理水と関係のない質問が出たのには理由がある。「処理水の海洋放出が本当に人体に無害なら、直接飲んで証明してみろ」という一部の主張を論破するためだった。放射能の数値を直接測定する科学的な方法はさておき、根拠のない主張やスローガンだけを繰り返すのは意味がないということだ。

国際原子力機関(IAEA)が、福島第一原発の処理水の海洋放出計画の安全性に問題がないという内容の報告書を発表し、処理水の海洋放出が可視化している。しかし、国民の不安は依然として現在進行形だ。科学界が様々なデータと予測シミュレーションを通じて処理水の海洋放出が人体に無害であるという根拠を出しているが、役に立たない。検証されていない「怪談」が国民の恐怖心を刺激しているからだ。

討論会では、現在の状況が「狂牛病怪談」の時と似ているという診断も出た。西江(ソガン)大学化学科の李悳煥(イ・ドクファン)名誉教授は、「科学的事実が徹底的に無視され、硬直的、政治的なスローガンが圧倒するという点で、第2の狂牛病怪談だ」と強く批判した。李氏は、事実と異なる情報が一部の科学者の口から拡散される間、これを防げなかった科学界の自省も促した。李氏は、「特定の教授が世界を混乱させる間、当該大学の学長や科学技術界は何の問題提起もしなかった」と述べた。

日本が多核種除去設備(ALPS)を経て海洋放出しようとしている処理水と関連し、科学界全般では「設備が正常に作動すれば問題はない」という意見が大勢だ。測定された結果値の精度を重視する科学者としては、様々な指標を見る限り、人体に有害であるという証拠を見つけることは難しいということだ。福島の処理水に混じって海洋に放出されたトリチウムが韓国海域に到着するには数年かかり、その量は人が100億年間毎日飲めば1年間の放射線許容量に達する程度という説明もある。

しかし、政界はこの論争を終わらせる気がないようだ。ついには国際機関であるIAEAの正当性を貶める主張まで出てくる。「処理水を放出しないよりは危険ではないのか」という話もある。人体への有害・無害を分ける「基準値」の概念を全く認めないということだ。

科学者たちの説明やデータに十分に接することができる人は思ったより多くない。情報にアクセスしたとしても、非科学者が理解しにくい内容も多い。政界が注ぎ込むスローガンがはるかに強い伝播力を持つ背景である。そんなことはないだろうが、万が一、このような「情報格差」を悪用して自分たちの政治的利権を得ようとするなら、非難の矛先はいつか戻って来るほかない。むろん、天文学的な規模の社会的コストも自分たちが負担しなければならないだろう。