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ベートーベン誕生と新型コロナの運命

Posted December. 25, 2020 08:34,   

Updated December. 25, 2020 08:34

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「ベートーベンは、私たちに生命という偉大な冒険を始める勇気をくれました」

ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領(64)が17日、ドイツのボンオペラハウスで開かれたルートヴィヒ・ファン・ベートーベン誕生記念コンサートを控えての発言だ。ベートーベンの作品は音楽を越えて、人類が「逆境」に立ち向かって乗り越えられる力とインスピレーションを与える象徴的媒体だという意味だった。

今年は楽聖ベートーベンの誕生250周年だ。ベートーベンの生年月日についての正確な記録はない。ただ、彼が1770年12月17日、ボンで洗礼を受けた記録は残っている。当時は慣習上、出生後24時間以内に洗礼を受けた。このため、前日の16日にベートーベンが生まれたものと推定されている。

同日のコンサートは新型コロナウイルス感染症のため、聴衆なしで行われた。250周年を迎えた今年、ベートーベンが生涯を過ごしたオーストリア・ウィーン、英ロンドンなど欧州各地で数多くの公演と行事、祭りが計画されていた。しかし、新型コロナのパンデミックにより、その大半がキャンセルされたり、延期されたりした。

12月になると、残念さを訴える声が目立って大きくなった。フランスの知人たちは記者に、「新型コロナのため、250周年の関連公演をユーチューブで見た」とし、「ベートーベンの曲は、欧州の歴史そのものなのにとても残念だ」と話した。

欧州の運命が分かれた節目ごとに、ベートーベンの作品があった。1789年、絶対王政を倒したフランス革命が起きると、ベートーベンは自由と平等の精神を込めて交響曲第3番(英雄)、第5番(運命)を作曲した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、2017年5月の大統領選挙での勝利演説でこれをオマージュして、ベートーベン曲を大きく流した。

ベートーベンの作品がよいことだけに使われたのではない。ナチス政権は、1938年にオーストリアを占領後、連日ベートーベンのオペラ「フィデリオ」を上演した。ベートーベン音楽を通じてドイツ民族の優越性とナチズムをPRしようという狙いだった。1989年11月、ベルリンの壁の崩壊後は、ベートーベン交響曲第9番のうち「歓喜の歌(Ode to Joy)」が演奏された。

この曲は欧州連合(EU)の成長とも軌を一にする。EU前身の欧州共同体(EC)は1985年、この曲を「一つの欧州」を象徴する欧州歌として公式採用した。昨年9月の欧州議会の開院式でこの曲が演奏されると、「ブレグジット」を擁護する英議員たちは背を向け、論議を呼んだ。

ベートーベンは、過去を越えて「未来」にもつながっている。彼が57歳で死亡して、未完成に残した交響曲第10番の残りの部分が、ベートーベンの作曲性向をマシンラーニング(機械学習)で習得した「人工知能(AI)」によって今年作曲された。こうした「ベートーベン」の象徴性のため、ドイツ政府は「250周年」を来年9月までに延長することにした。今年キャンセルされた行事を、新型コロナを乗り越えた後、完全に行うという意志表現だ。

欧州主要国でワクチン接種が始まり、新型コロナを克服できるという希望が大きくなっている。しかし、感染力が70%も強い変異ウイルスが発生して、再び恐怖が頭をもたげている。聴力喪失さえ乗り越えて、偉大な曲を完成させたベートーベンを思えば、克服できない逆境などない。来年は新型コロナに勝利したという「歓喜の歌」が世界各地で鳴り響くことを期待する。


金潤鍾 zozo@donga.com