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孫興民と1億ユーロの男のタグ

Posted September. 25, 2020 09:03,   

Updated September. 25, 2020 09:04

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サッカー界で最も大きな話題を呼んだ移籍の主人公は誰だとうか?

まず思い浮かぶ選手は2017年にスペインのFCバルセロナからフランスのパリ・サンジェルマン(PSG)に移籍したネイマール(28)だ。PSGはネイマールの獲得に2億2200万ユーロ(約3005億ウォン)の移籍金を支払ったが、これはサッカー史上最高額の移籍金だった。

だが、ネイマール以前にも記録破壊者はいた。移籍情報専門サイト「トランスファーマルクト」の記録によると、21世紀が始まった2000年以降に7人が歴代最高額の移籍金記録を更新した。一番先に2000年7月11日にエルナン・クレスポ(45)がイタリア・セリエAのパルマからラツィオに移籍しながら当時では過去最高額だった5681万ユーロ(約800億ウォン)を記録した。

しかし、これは約2週後の7月24日、ルイス・フィーゴ(48)によって破られた。2020年韓日ワールドカップでポルトガル代表として韓国と対戦し、韓国ファンにもお馴染みのフィーゴは、当時バルセロナからレアル・マドリードに移籍しながら6000万ユーロ(約819億ウォン)の移籍金を記録した。フィーゴの移籍は、バルセロナの看板スターが最大のライバルであるR・マドリードに移したことから衝撃とともに議論を呼んだ。歴史、地理、文化的な背景から根強いライバル意識を持つ両チームは、今も地球上で最高のライバルに挙げられる。そうした関係にある両チームの間で、相手の看板スターを引き抜くことは容易で考えられることではなかった。怒りを爆発させたバルセロナファンは、フィーゴの写真を燃やし、競技場でフィーゴに豚の頭やレンガ、お酒のボトルを投げ込んだ。フィーゴの移籍は、その後スペインクラブの中で看板スターを守るための契約解除違約金条項であるバイアウト金額を急騰させる契機となったとされる。最近、リオネル・メッシ(33)がバルセロナを退団しようとして1兆ウォンに上るバイアウト金額のために断念したのも、この事件と関係がある。その点でフィーゴの移籍は、この20年あまりの間で最も騒がしかった移籍の一つと言える。

フィーゴの移籍金記録以降、2001年のジネディーヌ・ジダン氏(48=R・マドリードに7750万ユーロで移籍)、2000年のクリスティアーノ・ロナウド(35=R・マドリードへ移籍、9400万ユーロ)、2013年のガレス・ベイル(31=R・マドリードへ移籍、1億100ユーロ)、ポール・ポグバ(27=マンチェスター・ユナイテッドへ移籍、1億5000万ユーロ)、2017年のネイマールが過去最高額の移籍金を更新してきた。

このうち、韓国ファンの間でも話題を呼んでいる人物はベイルだ。孫興民(ソン・フンミン=28)が所属するトッテナム・ホットスパーからR・マドリードに移籍する際、サッカー史上初めて移籍金1億ユーロ(約1336億ウォン)時代を切り開いた。フィーゴの移籍が波紋を起こした代表的なケースだったのに対し、ベイルの移籍は超高額移籍金時代の新たな里程標となった。そのベイルがR・マドリードからトッテナムへ7年ぶりに帰ってくる。1年間のレンタル形式だが、孫興民と呼吸を合わせることになった。

だが、ベイルの復帰が、バラ色の夢だけを与えているわけではない。復帰の背景のためだ。ベイルは、一時圧倒的なパフォーマンスを発揮したが、度重なる負傷に苦しめられ、次第に衰えてきた。強みだったスピードは全盛期に比べて多少低下した。ジダン監督就任後に主力で起用されなかったベイルは、次第に居場所を失って行った。一時は中国進出説も流れた。R・マドリードはベイルを売却しようと努めたが、移籍金が高すぎて買い手がなかったという見方が多い。今回、完全移籍でないレンタルでトッテナムに復帰する理由でもある。

そのベイルが、もう一度自身の価値を証明するためには、トッテナムでの1年間、変わった姿を見せなければならない。R・マドリードで不誠実な振る舞いで批判を浴びたベイルも、これからは本気を出してベストを尽くさなければならない理由だ。

孫興民は、トッテナムに加入する時からチーム先輩のベイルに似ていると、よく言われた。二人ともスピードを生かした突破に長け、サイド攻撃に強い上、体つきも似ていたからだ。その孫興民が、これから本物のベイルと息を合わせることになった。孫興民にとって、一時は世界最高額の選手と評価されたベイルとの比較や競争を通じて、自身の価値をさらに高め、ベイルとしては好調の孫興民とのシナジー効果を通じて自身の価値を改めて証明する機会になり得る。二人の連携と競争には、さらなる成長と復活という意味が含まれている。


李元洪 bluesky@donga.com