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平壌南北首脳会談、途切れた「米朝非核化」の架け橋にならなければ

平壌南北首脳会談、途切れた「米朝非核化」の架け橋にならなければ

Posted September. 07, 2018 08:06,   

Updated September. 07, 2018 08:06

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突破口はなかった。停滞した米朝間非核化協議を修復するために平壌(ピョンヤン)に向かった文在寅(ムン・ジェイン)大統領の特別使節団が伝える北朝鮮の立場は、以前と変わっていなかった。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、核実験場の閉鎖といった北朝鮮の先制的措置に、米国も韓国戦争終戦宣言のような相応措置を見せなければならないと主張した。こうした中、南北は平壌で開く3回目の首脳会談日を18~20日に確定した。その前に南北共同連絡事務所を開設することも合意した。

正恩氏は特使団と会って、「我々の先制的措置に相応する措置がなされるなら、非核化に向けたより積極的な措置を継続していくことができる」と述べたと、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が6日、伝えた。トランプ米大統領の任期中に非核化を実現する意思も表明したという。北朝鮮の朝鮮中央通信も、正恩氏が「朝鮮半島を核兵器も核の脅威もない平和の地にするということが我々の確固たる立場」と話したと報じた。

正恩氏が「確固たる非核化の意思」を繰り返し明らかにしたとしても、依然として米国に「同時行動」原則による相応措置を前提とする条件付きの非核化だった。むろん、北朝鮮の公式メディアが、正恩氏の非核化関連発言をそのまま公開したのは初めて。これまで南北、米朝首脳会談の合意文の中で「完全な非核化」の単語が全てだったことと比較すると、正恩氏の肉声ではないが正恩氏の口から出た非核化関連発言を報じたことは一歩進んだ態度と評価できる。

だが、変わったのはそこまでだ。正恩氏が明らかにした非核化の意思は、6ヵ月前に初めて北朝鮮を訪れた特使団に、「体制の安全が保証されるなら核を持つ理由はない」と言ったことと大差ない。むしろ今回の発言は、米朝が共に作らなければならず、米国に向かって終戦宣言や制裁緩和などの補償を求めるメッセージと読める。

正恩氏は、豊渓里(プンゲリ)核実験場を永久に不能状態にするなど、「善意の先制措置」を行ったにもかかわらず、国際社会が疑念を提起することに対してもどかしい思いを吐露したと、鄭氏は伝えた。何の補償もないという不満だ。しかし、北朝鮮はすでに韓米合同軍事演習の中止で十分な補償を受けた。今は北朝鮮が、核兵器・施設リストを提出して、原子炉とウラン濃縮施設の核物質生産活動を中止する実質的な履行措置に出る段階だ。にもかかわらず正恩氏は、相応措置を要求し、非核化プロセスに入ることを事実上、拒否しているのだ。

むろん、南北は米朝協議の修復に向けた具体的な案も論議しただろう。トランプ氏は最近、電話会談で文大統領に、「交渉責任者(chief negotiator)」になることを要請したという。特使団も、北朝鮮側にそれなりの仲裁案を提示しただろう。鄭氏も正恩氏の対米メッセージがあると明らかにしたため、これを機に米朝協議が再開するかもしれない。しかし、正恩氏の意思に対する疑念が続く限り、今後も米朝協議は困難にならざるを得ない。

 

南北首脳会談まで時間はあまりない。10日ほどだ。その前に米朝実務協議の再開の環境を作らなければならない。そうせずには南北関係の加速論議は避けられない。政府では、南北関係の進展が非核化を牽引できるという声がある。このようなムードが、ややもすると平壌首脳会談が拍手を受けられないイベントになる結果を生まないか心配だ。南北関係が先を走ったとしても、米朝関係をけん引する程度の距離でなければならない。