Go to contents

完璧な復讐

Posted August. 23, 2018 09:56,   

Updated August. 23, 2018 09:56

한국어

今年6月、ロンドン国立美術館は、21番目の女性作家の作品を購入したと、大々的に宣伝した。2300点を超えるここのコレクションの中で、女性作家の作品はわずか20点で1%足らずであるからだ。美術館が46億ウォンをかけて購入した絵は、17世紀の最高女性画家アルテミジア・ロミ・ジェンティレスキの自画像だ。ジェンティレスキは、神話や聖書に登場する女性になぞらえて描いた自画像で有名だ。その中で、聖書の中のユディトを最も多く描いた。どうしてユディトなのだろうか?

17世紀は、女性が画家として活動すること自体が難しい時代だった。画家の父親を持ったおかげで、彼女は早くから才能が認められ、画家になった。しかし19歳の時、絵の師匠であり、父の同僚だったアゴスティーノ・タッシに暴行された。この事件は異例にローマ法廷まで行き、被害者だったジェンティレスキは寧ろ、屈辱的な婦人科の検査を受けなければならなかった。また、自分の主張が虚偽の事実でないことの確認を受けるために、激しい拷問まで受けた。結局、タッシは有罪判決を受けたが、ローマから追放されただけで、再び以前のように作品活動を行った。これに憤慨したジェンティレスキは、聖書の中のユディトの物語を描いて、自分ならではのやり方で復讐した。ユディトの顔には自分を、敵将の顔にはタッシの顔を描きいれた。ユディトは敵将のホロフェルネスを誘惑して彼の首を斬り、民族を救ったイスラエルの英雄だ。ジェンティレスキは裁判の途中にこのテーマを描きはじめ、数年後もいくつかのバージョンで繰り返して描いた。時間が経った後も、まだひどい記憶として残っている自分の傷とタッシの犯罪事実を、そのように継続的に世の中に伝えた。

絵の中のユディトが手にした十字架の形のナイフは、これは個人的な復讐ではなく、神の名で不義を懲らしめる行為であることを暗示する。タッシはジェンティレスキのおかげで、400年が過ぎた今でも記憶される有名人になった。画家ではなく、レイプ犯人としてだ。ナイフではなく筆を握った画家ジェンティレスキが選んだ完璧な復讐だった。

美術評論家