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「トランプ氏の精神状態は?」 専門医の著者が語る危ないシグナル

「トランプ氏の精神状態は?」 専門医の著者が語る危ないシグナル

Posted March. 26, 2018 08:54,   

Updated March. 26, 2018 08:54

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――トランプ大統領の精神状態についての初の専門書籍だが、米国での反応はどれほどだったのか。

「出版2日で在庫が底をつき、アマゾンでは印刷の度に2時間で売り切れた。その後、トランプ氏のホワイトハウスの裏話を扱った『炎と怒り』(fire and fury)が出て、私たちの本が再び関心を集めた。(トランプ氏が米出版業界を儲けさせたのか?)ハッハッハ、彼の精神状態に関心が大きいため…。その流れにうまく乗ったようだ」

――トランプ氏はなぜ出版禁止を要請しなかったのか。

「本に関心がないため、初めは本そのものを知らなかったようだ。この本が有名になると、ある日ツイッターで本の内容と噂を聞いたようだ。その翌日、最初にツイートしたのが『こんな本がある』ということだったが、自分がどれほどすばらしい大統領か、良い人なのかを紹介した。『炎と怒り』は配布を阻止しようとしたようだ。そのため出版を予定より3日操り上げた。(トランプ氏が本を読むだろうか?) ほとんどないと思うが…、自身の『トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ取り引きの技術』すら全て読んだかも疑問だ。この本のゴーストライターのトニー・シュウォーツすら私たちの本にトランプの問題点を寄せた」

――本の意図とは別に大衆はトランプ氏が実際にどれほど危険なのか、精神疾患があるのか知りたがっている。

「私たちはトランプ氏が精神病を病んでいると診断を下したわけではない。数十億人の生死を左右する権力を持つ人が明白に危険な精神障害の兆候を見せる時、専門家として警報を鳴ならしたのだ。それで彼の言葉と行動を通じて彼が持ち得る精神疾患を網羅した情報を提供した。(彼の危険性を具体的に表現するなら?)小学生が銃を持っているようだと言おうか…」

――-彼が正常ではないということか。

「人が意思決定をする時、論理と合理による場合もあり、病理的な様式ですることもある。精神健康医学の専門医がすることは、それを区別してその病理的様式を知ることだ。(彼が病理的な意思決定をするということか?)そうだ。精神障害と認知的障害、さらに神経学的な障害まで見せていると考える。(専門家の間で意見が交錯しないのか?) 彼が危険だということに対しては意見の相違はない。分かれる部分はこのような形で公開することが職業倫理に外れるかどうかということだけだ」

――自分の名前を飛行機に大きく貼りつける心理は?

「精神科のうち私の専攻は暴力だ。そのため私の患者は皆暴力犯で、臨床する場所も刑務所だ。その中にトランプ氏のような特性が見られる人が数千人いる。(トランプ氏のような指向を持つ人を多く見ることができる場所が刑務所ということか?)その通りだ。トランプ氏のような特性を持つ人々は常に絶対権力を渇望し、自分を誇示する行動を取る。普通はこのような特性が社会内で制限されるが、トランプ氏は運と共に様々な疑わしい方法で莫大な富を築き、政治的な力も持ったことで、今まではそのような衝動に忠実でも法的な処罰を免れることができたにすぎない」

――先月、フロリダ・ダグラスの高校乱射事件後、トランプ氏は銃規制より教師を武装させなければならないと主張した。あきれた主張だが、実際にフロリダ州が7日、教師を武装させる法を通過させた。

「2012年に28人が死亡したコネチカット州のサンディフック小学校銃乱射事件の時も、あまりにも悲劇的なので教師を武装させようという話が出たことはあった。しかし、あきれて誰も真剣に受け止めなかった。今は正常のように思われている。『悪性の正常性』が起こっているのだ。トランプ氏就任後、米国で憎悪犯罪と学校暴力が増えたが、子供たちが『大統領がこのようにしてもかまわないと言った』と暴力を加える。白人優越主義による殺人も2倍ほど増えた。(任期が半分にも満たないのに?)1年少々経った…」

――トランプ氏が最近退任を26時間残したマッケイブFBI副長官を突然更迭し、引退年金も受けられないようにした。このような行動に対する医学的病名はあるのか?

「『サディズム』だ。他人に苦痛を与えることで喜びを感じる…、選挙期間にもそのような姿を見ることができた。支持者すら誘惑して引き込み、操縦して利用し、面白がる…。彼は自分を支持する人々のために働くわけでもない。『私がこのように人を操縦できるんだ』ということに快感を感じる。そのような行動は、金を儲けたり、利益があるためにするのでもない。ただ困らせることが好きなんだ」

――トランプ氏は嘘を度々つくが、オバマ氏やヒラリー氏も嘘をつかなかったわけではなかったのでは。

「もちろん政治家は嘘をつく。オバマ氏も嘘をつく…。しかし、嘘の回数を1年単位で数えなければならない人と1日は全く異なる」

――トランプ氏といえば戦争が思い浮かぶが、ジョンソン、ブッシュ親子など戦争を起こした大統領は多い。クリントン氏のジッパーゲートもまともならあり得ないことだ。なぜトランプ氏だけ危険だと見なければならないのか。

「歴代どの大統領より精神障害が多く、程度がひどいため…。精神健康医学の専門医が『実に非常に懸念される』と憂慮を表明したことは類例のないことだ。脳卒中、認知症を患った大統領もいたが、これは一般人も分かる。しかし、トランプ氏の場合、一般大衆は現在の状態が医学的に問題になる程ひどいのか分からない。その分かりにくい精神障害の信号を私たち専門家が捉えたのだ」

――トランプ氏が確かに危険だとしても、その危険を避けるための何か方法はあるのか。

「高級公職者や軍要職に任命される人は、その能力が備わっているかを検証する。ところで彼らすべてを掌握する大統領に同様の手続きがないことは大変大きな欠陥だ。憲法に暴君が生じないよう予防し、もし生じれば引き下ろすことができる装置があるが、現在の政治状況では作動していない。弾劾も可能性が小さい。今はできる限りすべての法と制度を通じて、彼が権限を乱用できないよう最大限抑制をするしかないようだ」

――出版後、トランプ氏の支持者の反発はなかったか。

「一部地域の新聞で私と共著者を批判する記事が載った。個人的には『殺す』という脅迫を多く受けた。私が国会議員にトランプ氏の危険性を警告するブリーフィングをしたというニュースが出た後、脅迫のために1ヵ月間、学校に出勤できないほどだった。事務所の住所、連絡先などが公開された状況だった。ネットには、『この人を狙撃して殺害しなければならない。彼がトランプ氏を攻撃する前に』という脅迫扇動もあった。(KKKだろうか?)ハッハッハ。1ヵ月ぶりに事務所に行くと、手紙やカード、チョコレートのような多くのプレゼントが山積みになっていた。勇気を出したことに感謝すると…。また、脅迫を受けて残念だと・・。トランプ氏の支持者の脅迫より量も質もはるかに感動的だった」

――トランプ氏が治療される可能性があると考えるか。

「私はいつも、患者は治る可能性があると話す。もちろん正しい治療を受ける場合だ。今、トランプ氏の精神を占めているのは虚しさだ。自分がとても弱いという考えが内面にあるため、埋め合わせるために過大包装し、ほらを吹く。絶えず他国を刺激し、核兵器に言及する理由が、自身の権力を誇示することで「私は弱い人間ではない」と確認しようとするのだ。このような状況では、患者の同意なく治療を押し切るしかない。監禁して治療するほかない…」

―― 一般人でもない大統領をどのように監禁・治療できるのか。

「わからないが、可能性を排除することはできないだろう。そのような状況が来ないということもない。(本当に?)今あまりにも不安な状態だが…、トランプ氏がストレスを多く受けており、負担が加重している。ロシア・スキャンダルのようなものでトランプ氏が起訴される危険が濃厚だ。もし起訴され、そのために拘禁されるなら、治療できるだろう」

――トランプ氏の他にもプーチン、ドゥテルテ、習近平などいわゆる「ストロングマン」が同時点に出現したことは偶然だろうか?

「偶然ではない。世界化がさらに高度化され、不平等が深刻になっているが、不平等自体が暴力の一形態だ。すべての犯罪と病気による死亡を合わせても、不平等による不必要な死が10倍多い。このような状況では、人々に心理的な変化が起きる。暴力的な体制が誕生する可能性が高まるほかないのだ」

――もしそれが世界史的な流れなら…トランプ氏だけ阻止しても済むわけではないようだが・・。

「ひとまず最も至急で大きな火だから…。トランプ氏によって状況がさらに悪化しつつある。今の混乱と無秩序におけるトランプ氏の浮上は一つの症状だが、再び原因になっている」


李鎭求 sys1201@donga.com