韓国と米国が、韓米首脳会談の共同声明発表後、韓米自由貿易協定（ＦＴＡ）再交渉をめぐって異なる解釈をしている。大統領府は両首脳が再交渉について合意していないと反論したが、ホワイトハウスは再交渉開始に向けた手続きに入る意向を明らかにした。
結果的に共同声明に韓米ＦＴＡ再交渉の内容は含まれなかったが、トランプ大統領の攻撃的な発言が続き、韓米ＦＴＡ再交渉は事実上避けられなくなった。韓米両国が異なる考えを表していることに対して専門家たちは、「ＦＴＡ再交渉トンネル」の入口で神経戦を始めたと分析している。当初憂慮された安全保障問題よりも通商問題で両国が対立するという見方も出ている。
● 「再交渉」は米国内向け発言
２日、通商主務省庁の産業通商資源部は、「トランプ大統領の発言の真意を分析している」と明らかにした。共同声明に含まれなかったＦＴＡ「再交渉」を冒頭発言とその後ホワイトハウスで開かれた大統領令書名式で取り上げた背景を把握するために奔走している。
３０日（現地時間）に発表された韓米両国の共同声明には、「両国間の貿易不均衡解消に努力」だけが含まれた。トランプ大統領は、韓国に自動車の市場開放や、中国の鉄鋼のダンピング輸出を可能にしないよう求めた。自動車と鉄鋼を不公正貿易の代表業種に取り上げたのだ。
トランプ大統領が自動車と鉄鋼を取り上げたのは、「ラストベルト（後れた工業地帯）」で代表される米国内のトランプ支持基盤をなだめるためのメッセージという分析が出ている。これまで米国が韓国に要求したのは、牛肉などの農畜産や知的財産権などのサービス分野だ。事実上、市場開放が完了した工業製品を取り上げたのは、徹底して国内向けの発言ということだ。
同時にトランプ大統領は、ツイッターなどを活用して韓国との貿易に関するメッセージを伝えた。文在寅（ムン・ジェイン）大統領と首脳会談が終わった後、「皆さんもご存じのとおり、この貿易協定（韓米ＦＴＡ）は満期がある。実際２週間前に満期が到来した」と強調した。満期のない韓米ＦＴＡ協定についてトランプ大統領が偽りの情報まで流したのは、典型的な機先制圧という見方も出ている。
●再交渉要求、避けられない
共同声明にＦＴＡ再交渉が言及されていないため、「再交渉に合意していない」という韓国政府の説明は間違っていない。しかし、大統領府は首脳会談でＦＴＡが議題に上がったことは否定しなかった。このため、米国が韓米ＦＴＡに関する立場を整理次第、韓米ＦＴＡ再交渉を迫るものと予想される。２０１２年に結ばれた韓米ＦＴＡ協定文の第１６.７条（交渉）は、「両当事国間の理解増進に向けて各当事国は一方の当事国が提示した事項に関して協議を開始する。協議の要請を受けた当事国は憂慮事項に対して十分かつ好意的な考慮をする」と規定している。
ソウル大学国際大学院の安徳根（アン・ドククン）教授は、「再交渉に向けて米通商代表部（ＵＳＴＲ）が米議会に再交渉の関連書簡を伝え、これを議会が受け入れる手続きが始まっていない」と指摘した。そして、「米国がこの手続きをすべて終えて改正または再交渉を要求すれば、韓国は検討せざるを得ない」と述べた。ただ、協定文第２４.２条（改正）に「両当事国は同協定の改正に書面で合意できる」と言及されているだけで再交渉手続きの規定が不明という指摘もある。
●「開城工業団地」、「サービス収支」など再交渉戦略づくりを
通商専門家たちは、韓米ＦＴＡ再交渉を米国が公式に手続きを踏んで要求したわけではないものの意志を表わしたため、遅くとも来年初めには再交渉の圧力が大きくなる可能性が高いと見ている。ソウル大学国際大学院の朴泰鎬（パク・テホ）教授（元通商交渉室長）は、「現在、米国の第一の関心事である北米自由貿易協定（ＮＡＴＦＡ）がどう進行するかによって、韓米ＦＴＡの圧力時期と戦略も変わる可能性がある」と指摘した。
再交渉要求は避けられないため、韓国も米国に再交渉カードを要求しなければならないという指摘もある。開城（ケソン）工団の生産商品を韓国産と認めない条項、韓米ＦＴＡを締結した２０１２年当時野党だった「共に民主党」が毒素条項に選んだ投資家国家訴訟制（ＩＳＤ）の緩和などが挙げられる。韓神（ハンシン）大学国際関係学科の李海栄（イ・ヘヨン）教授は、「農畜水産と医薬品の韓国側の赤字が深刻である点を指摘でき、ますます悪化するサービス収支の均衡を図る必要がある」と強調した。
李建赫 gun@donga.com · 千浩晟 thousand@donga.com
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