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米に続き仏でも大統領選候補にハッキング攻撃

米に続き仏でも大統領選候補にハッキング攻撃

Posted May. 08, 2017 08:46,   

Updated May. 08, 2017 08:49

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フランス大統領選の決選2日前の世論調査で1位を走っている中道新党「アン・マルシュ(進め)」のマクロン陣営の電子メールと党の会計情報(9ギガバイト分量)がハッキングされて流出する事態が起こり、終盤の変数として浮上した。問題の資料は、公式選挙運動が終了した6日午前0時の数時間前に「#MacronLeaks(マクロンリークス)」というハッシュタグでソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を通じて一瞬にして拡散した。3時間30分後にこのハッシュタグは4万7000回使用された。選挙が終るまでマクロン氏側が説明できないことを悪用した計画された犯行と見える。

ハッキングの波紋が大きくなる中、39歳のマクロン氏と極右政党・国民戦線(FN)のルペン候補に対する有権者4600万人の選択が、7日午前8時(現地時間)からフランス全域の6万7000ヵ所の投票所で一斉に始まった。第5共和国がスタートして以来59年間、フランスの現代政治を二分してきた右派共和党と左派社会党がいずれも1次投票で脱落した初の決選投票だ。フランス初の30代大統領か、初の極右で女性の大統領か、誰になってもフランス史の新たなページが開かれる。

●終盤の変数に浮上したハッキング波紋

 

フランス選挙管理委員会は直ちに、メディアに流出した電子メールと文書の内容を報道しないよう命じ、「この文書を出版したり複製して拡散させる場合、処罰を受ける恐れがある」と警告した。拡散した文書には虚偽も多く、本物と偽の文書が入り乱れて伝わっている。オランド大統領は、「いかなる方法を使ってでも調査する」と述べ、混乱は選挙後も続くものと見える。

今回の大量ハッキングの形態と過程は、昨年の米大統領選挙期間中、民主党のヒラリー・クリントン陣営の電子メール流出と似ており、ロシアの仕業である可能性が高いという観測が流れている。英紙フィナンシャル・タイムズは、ウェブ分析会社トレンドマイクロの分析を引用して、昨年の米民主党へのハッキングを主導したロシア政府の情報機関の支援を受けるハッカー集団「APT28」を有力な容疑者と見ている。流出した文書のうち、ソフトウェアプログラムであるエクセルのロシア語版やロシア語使用コンピュータで編集された形跡が発見された。

マクロン陣営でデジタル・ディレクターを務めるムニル・マジョウビ氏は、「昨年12月以降、毎月数千回、ハッキングを図ろうとした」とし、「この動きもロシアが支援するハッカー集団と推定される」と話した。ロシアに批判的なマクロン氏の当選を阻止するためにロシアの選挙介入が現実に行われているという見方だ。

米紙ニューヨーク・タイムズは、極右指向のルペン氏の当選を望む米国の極右主義者の仕業である可能性を提起した。最初に流出した文書をオンラインに載せたのは米国の極右雑誌「The Rebel」を発行する親トランプ活動家のジャック・ポソビエック氏だった。

ルペン陣営に関係があるかどうかも関心が注がれている。ルペン氏は3日のテレビ討論で、暗に「海外に隠されたマクロン氏の口座があるといううわさがある」と述べ、その後SNSでは「マクロン氏が租税回避地で有名なバハマに口座がある」といううわさが飛び交った。マクロン氏は4日、虚偽流布の疑いでルペン氏に対して告訴状を提出した。FNのフロリアン・フィリポ副党首は6日午前0時の2分前に「マクロンリークスで記者たちが意図的に隠していた調査があらわれたのか」と投稿し、マクロン氏と関連して何か隠された内容があるかのようにほのめかした。

●マクロン氏が有力だが投票率が変数

 

ハッキング波紋にもかかわらず、いくつかの指標を考慮した最終状況はマクロン氏の当選が有力視されている。

世論調査公表の最終日の5日、3機関の世論調査でマクロン氏はルペン氏を24~26ポイント差でリードした。最大変数と見なされた3日のテレビ討論で、マクロン氏がルペン氏を圧倒して差がさらに広がるムードだ。フランスの日刊紙ル・モンドがイプソスとともに5日に実施した世論調査で、マクロン氏は先月30日より4ポイント上昇の63%を得て、4ポイント下がって37%にとどまったルペン氏を大きくリードした。

マクロン氏はすでに大統領就任後のプロジェクトに着手した。マクロン氏は5日、RTLとのインタビューで「すでに首相を決めた」とし、「6月の総選挙で『アン・マルシュ』を多数党にできる政治経験が豊富な人物になるだろう」と予告した。すでにフランスのメディアは大統領選挙に3度出馬した中道派の重鎮、フランソワ・バイル元教育相や中道と左派陣営に信望のあるジャン=イヴ・ル・ドリアン国防相などを有力視している。

最後の最大変数はやはり投票率だ。昨年の米大統領選でトランプ氏の勝利を予想して話題になったフランスの物理学者で世論分析家のセルジュ・ガーランド・フランス国立社会科学高等研究院研究員は、マクロン氏の支持者の消極的な投票で棄権が多い場合、わずかな差でルペン氏が勝利する可能性あると見通した。最後の世論調査で棄権の意思を明らかにした有権者が25%に達し、投票率が低ければ忠誠度の高いルペン氏が有利になる。

昨年9月にフランス北部の小都市ブルージュで遊説を始めたルペン氏は、4日に北部の小都市ソンム地方の訪問で8ヵ月間の大統領選の大長征を終えた。遊説の始まりと終わりの訪問先にFNの強勢地域であり後れた地方小都市を選択した。ルペン氏は、「忘れられたフランスを取り戻す」とし、フランスを率いるエリート中心のグローバル化を批判した。

各種世論調査を総合してみると、親欧州連合(EU)と自由貿易を代弁するマクロン氏は主に都市の高学歴高所得の有権者層から支持され、ユーロ圏からの離脱、保護貿易を強調するルペン氏は地方の低学歴低所得、失業者、25歳未満の若者層の支持を多く受けている。



董正民 ditto@donga.com