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[オピニオン]北朝鮮の禁止曲「朝露」

Posted September. 05, 2016 08:32,   

Updated September. 05, 2016 08:37

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この歌の第一小節だけ聞いても胸がわくわくする。日頃の緩んだ姿勢を正して何か大義のために決然と立ち上がるような…。歌詞のためか。メロディのためか。1970年代以降の民主化で、「朝露」は自由と民主を念願する人々の心を一つにした歌だった。抑圧と禁止の時代に「長い夜の間に~」を時には声を張り上げ、時にはもの悲しげに歌うと、より良い明日が早く来るような気がした。

◆浪漫的な抵抗の歌詞の中に「太陽は墓地の上であかあかと昇り~」が問題になった。金珉基(キム・ミンギ)は、夜を明かして酒を飲み、ソウル敦岩洞(トンアムドン)の野山の共同墓地で目覚めた時、草の葉についた露の上に太陽が昇るのを見てこの曲を作ったという。暗い時代、酒を飲むことで抵抗した青年の自己省察なのに、陰険な想像力に長けた公安当局は、不純な影がちらついていると見た。維新政権は、1975年5月に緊急措置9号を発動し、この歌を禁止曲に指定した。1971年に「健全歌謡ソウル市文化賞」を受けた歌なのだが…。

◆皮肉にも「朝露」は北朝鮮でも広く歌われた。北朝鮮当局が韓国市民の闘争の知らせを伝えるために作った宣伝映像物に登場した。しかし、歌う人が多くなると、北朝鮮当局は住民が歌に込められた抵抗意識に目覚める可能性に注目し、1998年から歌うことを禁止した。南北当局がいずれも住民が相手に染まることを恐れて禁止したとは、実に数奇な歌だ。

◆1987年9月5日、放送審議委員会が放送禁止歌謡500曲を解除し、「朝露」も「椿娘」などと共に再び電波に乗ることになった。金日成(キム・イルソン)大学出身の本紙のチュ・ソンハ記者は、北朝鮮で友人と「朝露」を歌った思い出を書き、この曲に魅了された理由について、「歌の中に隠れている抵抗の精神が私たちの胸の中に眠っていた内在的な反抗意識を呼び起こしたのではないか」と書いた。北朝鮮で「朝露」を密かに歌って新しい世の中を夢見る人々が最近増えたという。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com



한기흥기자 ハン・ギフン記者 eligius@donga.com