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[オピニオン]「ソウル大学出身は、良い就職を探そうとするな」

[オピニオン]「ソウル大学出身は、良い就職を探そうとするな」

Posted August. 31, 2016 08:30,   

Updated August. 31, 2016 08:36

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29日、ソウル大学の学位授与式で麗水愛養(ヨス・エヤン)病院のキム・イングォン名誉院長は、「あまり良い就職を探そうとするな」と思いがけない祝辞を述べた。自負心に満ちた卒業生には耳を疑う言葉だっただろう。しかし、前途洋々たる後輩に聞かせた話は自分の人生経験からにじみ出た心のこもった忠告であり、大学の垣根を越えて韓国社会にも深い響きを与える。

◆キム氏はソウル大学医学部を卒業し、1977年に小鹿島(ソロクト)病院に行った。専門医試験の資格を得るための義務規定のためだった。ところがその後も小鹿島を離れなかった。自分を必要とする所にいたかったからだ。1983年からハンセン病専門の愛養病院の最古参となり、ソウル大学病院の教授の打診も断った。そのような選択をした理由をキム氏は、「この選択を私自身がし、自分の選択が間違いではなかったという自負心がある」とし、「心が向くままに決めなさい」と言った。

◆米国の新聞は毎年、大学卒業式の名演説を紹介する。今年注目されたポール・ライアン下院議長の演説は、ソウル大学の祝辞とも一脈相通じている。「人生は皆さんが精魂込めた計画をシュレッダーに押し込む。自分が夢見た仕事に就けないこともあり、もし夢見た仕事に就いたとしても悪夢に変わることもある。しかし災難のように見えることが機会になることもある。自分が立てた人生計画が合わないからと性急に機会をけってはいけない」。

◆韓国でも米国でも、大卒者であっても就職の悩みを持つ悲しい現実で贅沢なアドバイスではないかと言われるかもしれない。陳腐に見えても、その中には人生の真実が凝縮されている。2008年のハーバード大学の卒業式で、「ハリー・ポッター」の作家ジョアン・ローリングが言った。「恐れていた失敗が現実になり、かえって自由になった。過去に戻ることができるなら、『人生は成就したことのリストではないということを悟れば幸せになる』と私に言いたい」。不確実な未来の前に悩む若者たちは信じなければならない。誇らしくない今この瞬間も、いつか大切だったと振り返ることができる日になるということを。

高美錫(コ・ミソク)論説委員mskoh119@donga.com



고미석기자 コ・ミソク記者 mskoh119@donga.com