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スペインオーケストラと協演するピアニストの白建宇、「これからは楽しみながら演奏したい」

スペインオーケストラと協演するピアニストの白建宇、「これからは楽しみながら演奏したい」

Posted July. 13, 2016 07:19,   

Updated July. 13, 2016 07:34

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「死ぬまでやってもやり遂げられないことなのに、これからは楽しみながらやるつもりです」

予期せぬ答えだった。ピアニスト・白建宇(ベク・ゴンウ)氏(71)ははたして誰だろうか。「鍵盤の上の求道者」と呼ばれながら、複数の作曲家たちの全曲を勉強し、数々の公演や録音をこなしてきた演奏家ではないか。何か一つのことに取りつかれると、執拗に打ち込む音楽一筋の人生を生きてきた。

8日、ソウルイルシンホールでインタビューした氏は、音楽を眺める目線が変わったと明らかにした。「かつては何かしなければならないという焦りのようなものがありましたね。ある意味では、音楽は自分の戦いの対象でした。相変わらず、いい演奏のためには多大な努力が必要だが、今は音楽そのものを楽しみたいと思います。こんなことに思い至るまで、あまりにも長い年月がかかったような気がします」

17日、ソウル芸術の殿堂で、スペインナショナルオーケストラとの協演(ラベルのピアノ協奏曲ト長調)後、9月29日に行うリサイタルは、ある意味では楽しみの場ともいえる。自分だけでなく、観客も音楽を楽しませたいという趣旨の演奏会だ。演奏会のタイトルも、「白建宇のプレゼント」。20日までリクエスト曲も受け付ける(www.vincero.co.kr)。

白氏は、ピアニストでなければ、写真作家になったはずだと、しばしば口にするほど写真への愛着が強い。もう少し年を取ったら、写真で個展を開くことも考慮したいと語るほどだ。音楽を眺める視線が変わったように、写真を撮る姿勢も変わってきている。「かつては、構図を決めて十分に考えた後、写真を撮っていたなら、今はその時々の感情に任せて、瞬間を撮るのが好きです」

写真に劣らぬほど、絵にも相当な実力を誇る白氏は、多くの絵を描いてきたが、妻の尹靜姬(ユン・ジョンヒ)氏についてはただの一度も描いたことがないと打ち明けた。その理由を尋ねると、しばらく考えた後、口を開いた。「あまりにも多くのことを表現したかったからでしょうね」。傍にいた尹氏がにっこりと笑った。

白建宇氏は、「過去を振り返ることが嫌で」、自分のアルバムはあまり聞かないことで知られている。今もわざわざ聞く方ではない。アルバムを聴かなかったことでできた数年前のエピソードもある。「車に乗っていたら、ラジオから音楽が流れてきましたよ。うまく弾くのにどこか自分に似ていてね。『誰が演奏したのだろうか』と気になって、最後まで聞いていたら、DJが演奏者は『白建宇だ』と紹介しましたよ。ハハ。自分の演奏すら気がつかなかったんですね」

毎年、50回以上の公演をこなす白氏は最近も、公演の前は緊張すると打ち明けた。「適当に演奏するなら緊張する必要などないでしょう。ところが、私は本当にうまく弾きたくてね、目標が高すぎるから、公演のたびに緊張します。まだまだ至りませんね(笑)」。お問い合わせは02-599-5743まで。



김동욱 キム・ドンウク記者 기자creating@donga.com