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[オピニオン]広島のケリー米国務長官

Posted April. 12, 2016 07:16,   

Updated April. 12, 2016 07:21

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「リトルボーイ」。世界史を変えた最初の原子爆弾の名前は皮肉だ。1945年8月6日午前、米B-29爆撃機「エノラ・ゲイ」(機長であるティベッツ大佐の母親の名前)は、広島市内に長さ3メートル、重さ4.36トンのウラン原爆を投下した。TNT13キロトン威力の原爆が、地上580メートルの空中で爆発し、きのこ雲の下ではすべてが地獄と化した。7万~8万人が即死し、約7万人が負傷した。建物の69%は灰になった。日本が直ちに降参したなら、8月9日に長崎にプルトニウム原爆「ファットマン」が落ちる悲劇を防げただろう。

◆当時「グラウンド・ゼロ」から約160メートル離れた広島県産業奨励館のドームは完全には破壊されなかった。建物の残骸は広島平和記念館と命名され、反核・平和運動の象徴になり、1996年には米国と中国の反対にもかかわらず、ユネスコ世界遺産に指定された。その前を流れる元安川を挟んで原爆の惨状を伝える広島平和記念公園が一帯に造成された。片隅に2万人にのぼる韓国人原爆犠牲者碑もあるので、韓国にも歴史的な意味が重い。

◆広島の主要7ヵ国(G7)外相会合に出席したケリー米国務長官が11日、この公園を訪れ、原爆犠牲者慰霊碑に献花した。米国は、原爆投下は戦争を終わらせるために避けられなかったので謝罪する必要はないという態度を取ってきた。ケリー長官が、「今回の訪問は、過去についてのものではない」とし、「現在と未来のためだ」と言ったのも、事が敏感だからだろう。オバマ大統領も来月のG7首脳会議の時に公園訪問を検討しているというが、米国の世論の動きを見るほかない。

◆日本が歴史を否定し、世界唯一の被爆国家という点だけを強調するのは、加害者が被害者のように振る舞うことなので共感できない。ただ、核の惨禍がどれほど恐ろしいかを想起し、核拡散防止に向けた世界の連帯を強化する努力を傾けるなら意味があるだろう。爆発力が増大した核爆弾が使われるなら、広島の何百倍以上の惨劇が起こるだろう。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員eligius@donga.com



한기흥기자 ハン・ギフン記者 eligius@donga.com