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民の厳しい暮らしを慰めてくれた朝鮮時代の芸人たち

民の厳しい暮らしを慰めてくれた朝鮮時代の芸人たち

Posted November. 21, 2015 08:57,   

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歌手を発掘するとあるオーディション番組には、毎年新しいスターを目指す人たちが殺到している。しばらくの間、似たような複数の番組が雨後の筍のように出てきて、歌手志望生たちがはたして残っているだろうか、という世間の懸念をあざ笑うかのように。ソーシャルネットワークサービス(SNS)でも、才能あふれる人たちに頻繁に接することができる。韓国は狭い国土に比べ、人材は少なくない。

昔はどうだったのだろうか。班常(両班と常民)の区分が厳しかったあの時、あの時代に、あふれる才能をどうすることもできなかった人たちは、果たしてどのような暮らをしたのだろうか。この本は、そのような疑問を一気に解決してくれる。計5章からなる本の中には、平凡でない人生を生きた朝鮮時代の32人の物語が盛り込まれている。

誰もまねできない醜い顔で、人たちを笑わせた「朝鮮版お笑い芸人」や、科挙試験の的中率の高かった講師、「エッチな語り部」の第一人者など、「ありとあらゆる」人たちが登場する。彼らのうち何人かは、「チェ氏」や「オム道人」、「雀とコウノトリ」などの異名であり、名前すらきちんと伝わっていない。数百年が過ぎてからようやく、彼らの人生は「エンターテイナー」という名で見直されている。「朝鮮百姓実録」、「朝鮮の名探偵たち」、「歴史ラジオ、朝鮮のあの日」などを記した著者は、歴史の路地裏の物語に注目してきた。

下層民のエピソードを盛り込んだ朝鮮後期の詩人、趙秀三(チョ・スサム)の漢詩「秋齋紀異」からインスピレーションを得た著者は、様々な論文を文書を参考にして、物語を完成した。朝鮮初の女流歌い手、陳彩仙(チン・チェソン)を発掘した申在孝(シン・ジェヒョ)の物語も入っている。25日に公開する映画「桃李花歌」は、彼らのストーリーを扱っている。

本は教科書でよく目にできる堅苦しい内容ではなくて、興味深い。しかし、昨今だったなら、大衆に大きく愛されたはずだが、時代に合わなかった彼らの物語であり、なんとなく「物悲しい」。礼遇の中でも黙々と自分の道を歩んできた人たちがいたからこそ、今の韓流文化も存在できたのではないだろうか。



wanted@donga.com