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映画「インサイド・ヘッド」に潜むチック・コリア

映画「インサイド・ヘッド」に潜むチック・コリア

Posted August. 10, 2015 07:23,   

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アニメーション「インサイド・ヘッド」のサウンドトラックは、映像もさることながら、かなりの力作だ。

人間の5つの感情を異なる容貌と性格のキャラクター(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ)に形象化した映像とストーリー同様、すばらしい作品。サウンドトラックアルバムの2番目の曲「Team Building」がいい例だ。低音の管楽器チューバの沈んだ演奏で「カナシミ」を登場させ、弱々しいメロディと疾走する楽曲で5つの感情の声を表現する。色彩感を与えるギター、ドラム、ウクレレ、ビブラフォン、シンセサイザーで、24曲すべて緻密な舞台演出のように繰り広げられる。快活だが雨に濡れた独奏も印象的だ。

非常に繊細なサウンドトラックを完成させたマイケル・ジアッチーノ(Michael Giacchino)は最近、最も忙しい音楽監督だ。アニメーション「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年)でアカデミー賞とグラミー賞を受賞した彼の今年の上映作だけでも、「インサイド・ヘッド」、「ジュラシック・ワールド」、「ジュピター」、「トゥモローランド」・・・。

「インサイド・ヘッド」に潜むもう1つのサウンドトラックがある。何と25年前に作られた予言的な作品だ。ジャズの巨匠チック・コリアが率いる「チック・コリア・エレクトリック バンド」の1990年作「インサイド・アウト」だ。レコードの表紙は、偶然にも劇中のライリーの頭の中の工場の風景と似ている。5色の幾何学的構造物を抽象化されたキャラクターが駆け回る。

25才まで私がジャズを嫌った理由の1つは、明確な感情を呼び起こさないということだった。その混乱の音楽は、無数の緊張音と複雑なハーモニーででき、うれしくも悲しくもなかった、ソウルのように。快適な所で多くの人と関係を築くが、常に孤独な人。早く通り過ぎる洗練された夜景に向かって車窓にもたれかかるその人が抱くうす青い理解できない感情。そんな音楽。

エレクトリック・バンドの「インサイド・アウト」で、コリア(ローズ・ピアノ)は、フランク・ギャンバレ(ギター)、エリック・マリエンサル(サクソフォーン)、ジョン・パティトゥッチ(ベース)、デイヴ・ウェックル(ドラム)の演奏と5つの感情のように調和と不和をなし、印象的な風景を描き出す。来月15日には、ウェックルが来韓公演をする。

ここにジャズを楽しむ非常に高尚な趣向の大人がいる。忘却の渓谷に永遠に消えた子供の頃の記憶を抽象的で洗練された方法で復元しようと努めている。



imi@donga.com