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[オピニオン]大統領に必要な言葉

Posted June. 10, 2014 04:13,   

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任期の半ばにさしかかったある日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が市民社会の長老たちを夕食に招いた。大統領の独断がひどいと批判された時だった。夕食が終わった後、長老たちが一言ずつ言った。「聞く耳を持て」「苦言や正言を聞け」「言うべきことが言えない参謀は更迭せよ」。一部の長老は叱り飛ばすように言った。

一周まわった後、神妙な面持ちで聞いていた大統領が口を開いた。「苦言、正言は十分に聞いている。インターネットで大統領をののしる言葉まですべて読んでいる。今日の言葉も何度も聞いた言葉だ」。長老たちの表情はゆがんだ。

大統領はさらに言葉を続けた。「大統領に必要なのは苦言や正言ではない。国政をうまく運営する知恵だ。必要な人も、苦言や正言を言う人ではない。知恵を持つ賢者が必要だ。もしそのような賢者を知っているなら紹介してほしい」。

ぎこちない雰囲気のまま、その場は終わった。一部の長老たちは見送る参謀にその気持ちを吐露した。「賢者でなくて申し訳ない」。会って食事までしたが、結果はやらないほうがましだった。誰がよくて誰が悪いのかを問うのはやめよう。それは核心ではない。その代わり、これだけは問いたい。大統領は苦言、正言を嫌うのだろうか。そうだろう。大統領も人間だ。自分の行動が誤りであり、考えが不十分だと言われれば、嬉しいはずがない。

そのため、よく言われるように大統領になったらすべて苦言や正言に耳をふさぐのだろうか。違う、そうではない。嫌だからと無条件に排斥することはない。現実的に論理的にそうすることはできない。考えてみよう。大統領は常に問題を抱えている。容易ではない問題であり、国民と歴史に責任を負わなければならない問題だ。当然、苦慮する。時には魂の一部を売ってでも解決したいと思う。盧武鉉大統領が野党に大連合政府を提案したのも、まさにそのような脈絡からだった。大統領という職はそれだけ重い。

このような地位にいる大統領は苦言と甘言を聞き分けることはできない。重い病気の患者が苦い薬と甘い薬を選ばないのと同じ論理だ。耳を傾けないのは、苦いだけで知恵が入っていないためだ。僭越だが、先に紹介した長老の言葉もまさにそのケースだ。

大統領が必要なのは、苦言や正言ではなく知恵だ。では、この知恵はどうやって確保できるのか。簡単にできるのは賢者を迎え入れることだ。例えば、諸葛亮のような人物を引き入れればいい。しかし、今のような複雑な世の中に、そのような賢者はいない。一方に明るければ他方で暗く、一方に長けていれば他方で欠けている。

次善の策は、多くの人の集団知性としての「賢い組織」を作って近くに置くことだ。すなわち、少しずつ不十分な人々が互いに膝を突き合わせて補い合う方法だ。

今の大統領府はどうか。大統領の賢明さを支える「賢い組織」だろうか。違うようだ。先日のセウォル号惨事の大統領談話文を見てもそうだ。組織機能の行政革新処の移管など、数日ももたない案を大統領に言わせた。「賢い組織」とは程遠い。

荒っぽいが、その理由を想像してみる。政策や国政懸案をよく知る指令塔がいなかったり、あっても意見を組み合わせて調整する機能が働いていないのではないか。そのために参謀の間に高い仕切りと相互不可侵の文化で占められているのではないだろうか。その結果、知恵ではなく参謀の不十分さと偏見がそのまま大統領に伝えられている。

大統領は権威的だと言われる。目の前で言うべきことが言えないという。そうなればなるほど、参謀間の自由な対話と意見交換が重要だ。より多くの知恵で大統領を説得しなければならないためだ。もう一度尋ねる。参謀間のこのような対話と意見交換を促進するリーダーシップやシステムが大統領府の参謀組織の中にあるのだろうか。

すべてが事実でないことを願う。しかし問題があることは間違いない。何としても正してほしい。大統領府を「賢い組織」に、そして大統領の賢明さを支える組織にしてもらいたい。

国民もそうだ。重要なのは苦言、正言ではない。知恵と賢い助言だ。何がそれを可能にするのかについて、もっと考えなければならない。