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イケアとコストコ

Posted March. 27, 2014 03:03,   

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すでにここ数年、韓国の国内家具業界を揺さぶってきたのは、「イケアの韓国進出」という巨大な影だった。スウェーデン生まれの家具メーカー・イケアの製品は、韓国で公式販売される前から、並行輸入などを通じて、大人気を集めてきた。年間売上げが40兆ウォンを超えるメガトン級の規模、世界的な知名度などで、イケアが韓国で本格的に事業を開始するというのは、熱い話題となっていた。

しかし、いざとなるとこの会社に関する情報はほとんどなかった。国内家具業界やメディアの関心とは違って、イケア側は神秘主義を固守してきた。韓国第1号店がオープンする光明(クァンミョン)店のオープンを年内に控えている最近まで、外国系広報代行社は些細なことに関しても、「知らせる義務などない」という姿勢を保ってきた。そんなイケアが最近、カロス通りに公式のポップアップストアをオープンし、記者陣まで招待した。

「いよいよ」という期待感を持って売場を訪れた。しかし、新沙洞(シンサドン)の裏通りの建物の地下に設けられた売場は、これと言った看板すらなく、探すのに苦労した。70坪あまりの小さな規模や展示コンテンツまで、期待に及ばず、質素なものだった。イケアコリアのマーケティングチームが公式に挨拶をしたが、名刺を用意した人は1人もいなかった。並べられた家具、小物の値段も公開しなかった。

実は、このスペースでは現地化への悩み、新しい市場の消費者のための広報の性格よりは、ブランドのアイデンティティを巡る誇りや妥協を拒む意地のほうをより多く感じることができた。実際、あまり大きくない売場の一角では、スウェーデン流のコーヒー文化を体験させるなど、会社の源となっているスウェーデンの文化や伝統を紹介するのに、とりわけ重点を置いていた。

イケアコリアの初の公式行動を目にしながら、自然に国内に進出したもう一つの流通恐竜・コストコが思い浮かんだ。年間売上げ数十兆ウォンのグローバル企業であること、メディアとのコミュニケーションのパイプがふさがっていることも、両社は似ているところが多い。

まず、値段が安い代わりに不便さがある。倉庫型で店舗を経営しており、人件費、施工・物流費などを最小限に抑え、価格引き下げに注力しているからだ。現地化よりは、本国のやり方に拘ることも似ている。イケアは、スウェーデン流のライフスタイルを家具で具現することを目指しており、コストコは、現金や三星(サムスン)カードでのみで決済できる不便な決済制度や、購入物品の検閲などを固守している。

面白いことは、にもかかわらず、それが「通じる」ことだ。現地化に失敗し、韓国から撤退した海外流通企業各社も多いが、コストコは利用客らで賑わっている。イケアも似ているような気がする。国内家具メーカー各社は、「国民の感情から見て、組み立て型製品が大半を占めているイケアの影響は大きくないだろう」とあえて気にしないふりをしているが、多くの人たちが、イケアがオープンすることを首を長くして待っている。

一際気難しい韓国消費者らが、一部のグローバル会社の独善的営業について、寛大な例外をおくのは興味深い現象だ。コストコが、韓国社会があこがれてきた「米国流ショッピング文化」を一緒に売りながら、ほかの欠点を相殺させたように、「不便を買う」というイケアも同様に、「北欧流のライフスタイル」という大衆の幻想や期待を刺激し、韓国で成功できるかどうか、とても気になる。