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三星や現代車が揺れる日

Posted March. 12, 2014 06:51,   

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通貨危機2年前の1995年、韓国経済は、半導体好況の「パーティー」を楽しんでいた。最大の恩恵者は、1993年、半導体Dラムの世界トップに躍り出た三星(サムスン)だった。金が殺到すると、役員や従業員の給料や福祉を大幅に増やした。財務構造が悪化した一部の系列会社に、ばら撒き流の支援も行った。

1996年4月、突然、パーティーは終わった。グローバル供給過剰の影響を受け、半導体の輸出単価が急落し、不況が襲った。半導体業界の収益性悪化は、円安で反転した為替ショックとあいまって、波紋が膨らんだ。経常収支の赤字は、1995年86億ドルから、その翌年は231億ドルへと膨らんだ。通貨危機に向かう道に、経済的、政治的に何度も変曲点があったが、半導体ショックは、その始まりだった。

三星と現代(ヒョンデ)自動車はこの10数年間、韓国経済を率いる財界序列1、2位の両輪だ。国内の役員従業員数は、三星グループが25万人あまり、現代車グループは14万人あまりだ。事務職であれ、生産職であれ、求職者やその両親らが羨望する「夢の職場」だ。12年、グループの売上高は、韓国での生産分だけでも、三星が302兆ウォン、現代車が164兆ウォンだった。これらの企業と悲喜を共にする中堅、中小協力会社も多い。ふたつのグループが風邪を引けば、肺炎を患う人は、少なめに見積もっても100万人を優に超える。

英ブランド評価会社・インターブランドの「グローバル上位100社のブランド」に入った韓国企業は、三星電子と現代車、起亜(キア)車の3社だ。三星電子は09、20位圏に進入したあと、昨年は8位へと跳ね上がった。現代車は、昨年は10ランク上昇した43位、同じ系列会社の起亜車は、4ランク上がった83位だった。

年明けから、三星と現代車グループの空気が尋常ではない。三星電子は、昨年第4四半期の営業利益が、前期より6%減少した。今年第1四半期業績の見通しも明るくない。年明けに、5年ぶりに決意大会まで開き、「限界突破」を誓ったが、危機感は消えていない。

現代車の事情はもっと深刻だ。昨年の営業利益は、現代車が1.5%、起亜車は9.8%減少した。最近、米コンシューマーリポートの自動車ブランドの評価で、起亜車は4ランク、現代車は2ランク下落した。二社共に10位圏外へと外され、「品質経営」に赤信号が灯っている。致命的弱点ともいえる強硬な既得権労組の旧態が、改善される兆しすら見えない。

李秉迵(イ・ビョンチョル)や鄭周永(チョン・ジュヨン)という傑出な創業者の後を継いだ李健熙(イ・ゴンヒ)三星会長や鄭夢九(チョン・モング)現代車会長は、裏資金事件などの危機に見舞われたが、総合的経営成績表やリーダーシップは優等生だった。次世代経営を取り仕切る李在鎔(イ・ジェヨン)、鄭義宣(チョン・イソン)副会長は、父親らが健在なことを考慮しても、まだ、十分な力量を認められなかったり、検証されていない。「銀のスプーンを口にして生まれた」ため、苦労を知らずに育った3世経営者らが、創業や守成、跳躍を成し遂げた1、2世らに匹敵する能力を発揮できるかどうかも、未来を左右する変数となっている。

「湖の森の国」のフィンランドを代表していたノキアが墜落すると、その衝撃は、企業の役員や従業員だけでなく、フィンランド経済全体に及んだ。三星や現代車が揺れる日が来れば、韓国が受ける打撃も、「ノキアショック」に劣らないだろう。役員や従業員らの奮発が何より重要だが、二つのグループの情熱が冷めないよう、わが韓国社会の企業観もバランス感覚を備える必要がある。

一部の企業や企業家が間違いを起こせば、批判されて当然だ。ただ、韓国の大手企業への根拠のない反感で、海外資本、特に投機勢力の代弁者の役割も厭わなかったり、些細なミスに過度に叩く過剰な反応は禁物だ。三星と現代車を過度に叩き、その後遺症が膨らむことになれば、その直撃を受ける被害者らは、米国人や中国人、日本人ではなく、ほかならぬ我々韓国人だ。