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礼拝堂に祭ったスーパーコンピューター

Posted March. 06, 2014 03:31,   

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スペインのバルセロナに行けば、スーパーコンピュータを祭る礼拝堂がある。カタルーニャ工科大学についている「トレジローナ(Torre Girona)」という小さな礼拝堂だ。あえて翻訳すれば、この地方を治めていた「ジローナ家門の塔」ともいえるだろうか。19世紀に建てられ、スペイン内戦の時に破壊されたが、その後修復され、礼拝や教育などの聖なる用途として使われていた空間だ。

礼拝堂が、スーパーコンピューターを「祭る」ようになったのは、05年から。政府の大型研究課題をこなしていたカタルーニャ工科大学は、スーパーコンピュータ−センターを設立すべきだという、政府の提案を受け入れ、礼拝堂を空けて、当時、最も進んだ先端技術の産物を、偶像のように「祭り」始めた。スーパーコンピューターセンターを建設して運営する費用の面から最も経済的だという極めて「世俗的な」判断から始まって、礼拝堂は結局、世の中で最も美しく、豪華なスーパーコンピューターを「祭る」ようになった。

この物神の名は、「マレノストラム(MareNostrum)」。「我々の海(Our Sea)」という意味であり、地中海を指すラテン語だ。欧州の主要な川が流れ込む地中海のように、「全てのデータが集まる海」という意味であり、スペインやフランス、ドイツ、イタリアなどの欧州の科学者らが、共同研究を実施するために考案した名称でもある。

スーパーコンピューターは、宇宙の誕生を追及したり、生命の起源を明かす「尊い」研究に打ち込んできたが、最近は、産業や大衆のための「世俗的な」研究に関心を持ち始めた。スーパーコンピューターを通じて、産業競争力を高める一方、運営にかかる予算を、民間から調達するための方便でもある。この「世俗的な」研究に真っ先に目を向けたのが、皮肉なことに、「礼拝堂のスーパーコンピューター」だ。

ベルギーのブリュッセルに本部を置いているPRACE(Partnership for Advanced Computing in Europe)は、スーパーコンピューターを通じて、欧州連合(EU)25カ国のメンバー国の共同研究を総括する機関だ。事務局のステファン・ルクナ理事は、スーパーコンピューターを使って、航空機の風洞実験の費用を20%削減し(AIRBUS)、原油のボーリング費用を8000万ドル減らし(ENI)、ヘリのエンジン設計期間を6ヵ月間短縮した(CERFACS)事例を説明した。

また、伝染病の拡散モデルを研究し、公共政策の影響を調査する国家的課題も紹介した。ルクナ理事は、スーパーコンピューターは、一部の科学者が研究所に隠しておく大事なものではなく、マレノストラムのように、大衆が簡単に訪れることができるようにすべきだと主張した。いわば、「大衆のためのスーパーコンピューター」だ。

ドイツ・ヘルムホルツ財団のユリッヒスーパーコンピューターセンターも、PRACEに所属している。センターのノルベルト・アティグ・チーム長は、スーパーコンピューターを活用できる人材の規模が、国の研究開発(R&D)競争力を物語るともいえると説明した。そのため、同センターは、アーヘン工科大学のような周辺の大学と連携し、スーパーコンピューターの人材育成学位の過程を強化しているという。「聖職者」を養成する神学校ともいえるだろうか。

韓国にも、「世俗的な」スーパーコンピューターが必要だ。基礎科学分野の「尊い」研究から始まったが、スーパーコンピューターも今は、国の経済をリードし、企業の研究開発を支援する「俗世」の召命に耳を傾けなければならない。先端科学を「信奉する」多くの聖職者(科学者)らが、スーパーコンピューターセンターを聖地のように訪れ、スーパーコンピューターが示す解決策を発見させるべきだ。大衆も、科学者の「聖地巡礼」を見守りながら、科学の神秘や技術の祝福を一緒に享受させるべきだ。スーパーコンピューターを持ち込んで、科学の福音を伝播する「トレジローナ」礼拝堂の慧眼に賛辞を送る。