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「怒って振り返るな」

Posted February. 24, 2014 03:04,   

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冷静な自分らしくなく、数日まんじりともせず、スポーツ観戦に没頭した。冬季五輪のフィギュアスケートのことだ。金姸兒(キム・ヨンア)の最後の国際舞台というので、何か途方もないことが起きるかもしれないと思い、そのドラマを見逃してはならないと考えた。

「音楽マニア」のため選手たちの選曲に注目した。クラシックが多かったが、クイーンやローリングストーンズといったロックも少なくなかった。ただ、多くが騒々しい原曲ではなく弦楽が加味された別バージョンなので少し残念だった。繊細な演技を引き立たせるための選択だったのだろう。そのためか、昨晩のフィギュアのエキシビションで見た日本の町田樹の「ドント・ストップ・ミー・ナウ」は、クイーンの原曲をエレキに狂った少年ロッカーのように演じたので清々しかった。フリースケーティングの演技の後に泣いた浅田真央が「人生はまだ捨ててものじゃないから/笑ってみて」と歌うカナダ人シンガーIMA(イマ)の「スマイル/この素晴らしき世界」を選んだのは感動的だった。

金姸兒は、アヴリル・ラヴィーンがカバーしたジョン・レノン(1940〜1980)の「イマジン」を使った。2007年、アフリカ・スーダンのダルフール地域の難民救護のために国際アムネスティが製作し、世界的なスターがジョン・レノンの曲をカバーしたアルバムに含まれた曲だ。ジョン・レノンではなくアヴリル・ラヴィーンの声は、金姸兒の声のようだった。

「想像してごらん、天国なんてないんだと。…地獄なんてないし、みんながただ生きているって。…想像してごらん、国なんてないんだと。…殺す理由も死ぬ理由もなく、そして宗教もない」と歌う「イマジン」は、温かい楽曲とは裏腹に急進的なメッセージを含んでいる。来世の信賞必罰が約束されていないなら、善人はすぐに現実的な兄弟愛を発揮するかも知れない。

C長調のジョン・レノンの「イマジン」は、「ソ、シ、ラ」と「ラ、ラ♯、シ」のメロディが深い印象を残す。英国のバンド、オアシスは、「俺たちが最高」という傍若無人な態度で有名だったが、ビートルズにだけは深い敬意を表わした。彼らはヒット曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」(Don`t Look Back in Anger)を、映画「怒りを込めて振り返れ」(Look Back in Anger)から取り、「イマジン」のピアノの前奏をそのまま持ってきて完成させた。

ドラマは終わった。五輪が閉幕すれば金姸兒が世の中から消えることもないだろう。「イマジン」のピアノの旋律に重なって歌の中のサリーの最後の言葉が頭の中で響いた。

「怒って振り返るな。怒って振り返るな。…せめて今日だけは」(「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」)

イム・ヒユン記者 imi@donga.com