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「私が見た北朝鮮権力層の素顔を伝えたかった」 長編小説発表の脱北者チャン・ヘソン氏

「私が見た北朝鮮権力層の素顔を伝えたかった」 長編小説発表の脱北者チャン・ヘソン氏

Posted August. 17, 2013 03:43,   

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「実は、我々は食べれるものがなく、脱北したわけではないでしょう。民族のために、一つで仕事をしてこそ、統一した時、口にできる言葉があると思いました。北朝鮮の実状をきちんと伝えるのが、統一準備の近道だと思いました」

脱北者のチャン・へソン氏(67=写真)は最近、大変多忙だ。チャン氏は16日、記者に対し、「6月に長編小説『豆滿江(トゥマンガン)』を発表した後、もっと忙しくなった。1996年に韓国入りした後、この17年間、今のように忙しかった時が果たしてあっただろうかという気がするほどだ」と話した。二日に一度の割合でテレビに出演し、護衛総局(警護部隊)要員、金日成(キム・イルソン)総合大学学生、北朝鮮の朝鮮中央テレビの記者として目にしてきた北朝鮮権力層の素顔について、手加減無しに伝えている。

ソウルのど真ん中で韓国料理店を経営するほど、生活は安定しており、人生もたそがれに差し掛かっている彼が、北朝鮮の実状を知らせることにより情熱を傾けている理由が気になった。

「韓国で左派の人たちと話してみれば、現実ではなく幻想の中の北朝鮮を考えているケースを多く目にします。北朝鮮体制が、カール・マルクスが目指していた平等社会と考えているのが、その代表です。それは違うと主張すれば、『国家情報院から、そう言うよう指令でも受けたのか』と聞き返してきます。むなしさを感じました」

チャン氏が本を書くことになった動機は、その苦しさからだった。北朝鮮を追従しても、きちんと知ってから追従すべきだと言い聞かせたかったという。小説「豆滿江」に、金日成が韓国戦争の時、自分を救いに来た軍部を粛清する過程や後継構図の構築、交番や刑務所を活用した恐怖政治がよく現れている理由でもある。体制を批判して刑務所につれていかれた父親と残された二人の娘が、脱北の過程で経験する苦闘も、詳しく描かれている。金正日(キム・ジョンイル)の出生地は白頭山密營 (ベクドゥサン・ミルヨン)ではなくソ連だと暴露し、反逆者にされた脱北するようになったチャン氏本人の経験がそのまま溶け込んでいる。

チャン氏は最近の南北状況について、「開城(ケソン)工業団地操業再開への合意や非武装地帯(DMZ)平和公園の提案など、前向きなニュースが多いが、北朝鮮はその気になれば、韓国の足を引っ張ることになるだろう」とし、「北朝鮮の行動を予断してはならない」と警告した。