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[社説]脱北者を利用して韓国を揺さぶろうとする金正恩集団

[社説]脱北者を利用して韓国を揺さぶろうとする金正恩集団

Posted January. 22, 2013 07:18,   

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脱北者出身のソウル市公務員スパイ事件は進化する北朝鮮の脱北者対象工作と韓国公安機関のずさんな対共体制の実情を浮き彫りにする。脱北者のユ某氏は、11年6月からソウル市の契約職公務員として勤めていながら、ソウル市に居住する脱北者リストや韓国社会定着関連情報を北朝鮮に提供した疑いで検挙された。国家情報院(国情院)はユ氏が低所得層への医療支援業務をしながら、首都圏の脱北者1万余名の個人情報を収集したと見ている。ユ氏は北朝鮮が関心を持ちそうな仕事をしていたが、国情院と警察が注視しなかったため1年6ヵ月以上、公務員の身分でスパイ活動を続けることができた。

北朝鮮がかつては脱北者問題を隠すため、「脱北者」という言葉の使用さえ禁じてきたが、金正恩(キム・ジョンウン)登場以後、韓国に定着していた脱北者を再び呼び戻して体制宣伝の道具に利用している。脱北者のパク・ジョンスク氏と、キム・グァンヒョク、コ・ジョンナム夫婦は昨年6月と11月、平壌で開かれた記者会見で、「腐りきった南朝鮮社会ではとうてい生きていられず、自ら越北した」と偽りの主張をした。北朝鮮は家族を処罰すると脅迫して、パク氏らを北朝鮮へ再入国させたものと見られる。北朝鮮当局が相次ぐ脱北を防ぐため、卑劣な脅迫をしているのだが、北朝鮮住民に脱北者の存在を認める格好となった。

北朝鮮は韓国で大きく成功したか反北活動をしている脱北者を殺害しようとする試みを続けている。故人となった黄長鎏(ファン・ジャンヨプ)元労働党秘書や朴相学(パク・サンハク)自由北韓運動連合代表を殺害しようとする試みがあった。脱北者に見せかけたスパイも絶えず送っている。北朝鮮が韓国に来た2万4000人の脱北者を利用して韓国社会を混乱に陥れるために手段を選ばずにいるわけだ。北朝鮮は脱北者合同尋問の過程でばれないように、嘘探知機への対応など高度の訓練を経てスパイを浸透させている。合同尋問をさらに精巧に整備し、北朝鮮の脱北者対象の工作を徹底的に遮断しなければならない。

脱北者は自由を求めて命をかけて国内へ入ってきた。今度の事件で全体脱北者を色眼鏡で見る雰囲気が広がると、彼らに癒せない傷を負わせることになる。北朝鮮の工作を無力化させるためでも、開かれた心で脱北者を抱擁し定着を支援しなければならない。脱北者の身分と居住地を含めた個人情報を徹底保護し、脱北者が北朝鮮の報復活動に犠牲にならないようにするのも重要だ。脱北者も疑わしい人物を積極的に通報して北朝鮮工作が挟み込む余地を与えてはならない。