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[オピニオン]ゴム人間の脱走

Posted September. 19, 2012 05:16,   

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1997年1月20日、釜山(プサン)刑務所。刑務所の中のトイレの換気扇の鉄格子2つが壊され、囚人のシン・チャンウォンの姿が消えた。脱走の準備は緻密だった。刑務所の作業所から、金の鋸2つを、靴底のゴムに溝を作って隠し、刑務所内に持ち込んだ。格子の切断作業は騒音を隠すため、音楽放送の流れる午後6〜8時に行った。作業が終わると、切断部分にガムをつけて、看守らを騙した。縦30センチ、横33センチのサイズの換気扇から抜け出すため、80キロだった体重を60キロに減らした。

◆刑務所からの脱走には予想をはるかに超える手がある。韓国でも人気の高かった米テレビドラマ「プリズンブレイク」で、天才の建築家・マイケルは、濡れ衣を着せられ、死刑判決を言い渡された兄のリンカーンを助けるため、脱走計画を練る。彼は全身に刑務所の設計図を刺青したあと、わざと銀行強盗を働き、囚人になる。その後、2人は、トイレの便器を取り外し、下水溝を通じて脱走する。映画「ショーシャンクの空」の刑務所からの脱走物語だ。主人公のアンディの刑務所内の部屋には、1940年代のハリウッドのセクシースター・リタ・ヘイワースのピンナップ写真が張り付いている。アンディの脱走ニュースを聞かされた刑務所長が部屋に足を運び、ピンナップ写真を取り外すと、アンディが脱走のために開けておいた穴が現れる。

◆1970年代、香港には「ゴム人間」と呼ばれた泥棒・シェ・ヨンソンがいた。ビクトリア刑務所の窓一つない特別部屋に収監された彼は、仮病を訴え、医務室の運ばれた後、医師を縛り、幅20センチ足らずの小さな窓の前に立った。シェ・ヨンソンのまっすぐな腰が曲がった。さらに、ぽきっという音ともに、肩が脱臼でもしたかのように下に落ち、胸の前に畳まれた。胸と頭が順番に中のほうに曲がった。ゴム人間の体は半分に縮まり、窓口から抜け出した。

◆17日、大邱(テグ)東部警察署で、前科25犯のチェ・ガブボクが、警察官が居眠りをしている隙を狙い、縦15センチ、横45センチの長方形配膳口を通じて、留置場から脱走した。縦が大人の手の平の長さより4〜5センチも狭いところから、大人の頭が抜け出たのだ。犯人は身長165センチ、体重52キロと、小柄とはいえ、なかなか信じられない。チェは、枕に布団をかけて、眠っているかのように装い、警察官を騙したが、これは、「ショーシャンクの空」から学んだようだ。警察署の留置場の配膳口だけでなく、家庭の防犯向け鉄格子も、ゴム人間のサイズに合わせて、縮めなければならないのだろうか。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com