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[オピニオン]「保守政権下の暴力増加論」の真実

[オピニオン]「保守政権下の暴力増加論」の真実

Posted April. 14, 2012 08:27,   

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郭魯鍱(クァク・ノヒョン)ソウル市教育監は総選挙当日、ツイッターに、「米国では保守が政権を握れば、殺人と自殺が共に増加する。民主党が政権を握れば死ななかったはずの人たちが、共和党政権時代に殺人や自殺で死ぬことになる」とつぶやいた。郭教育監は、建国(コングク)大学・医学部の河智賢(ハ・ジヒョン)教授が9日付の韓国教育新聞に、投票への参加を呼びかけるために寄せたコラムの一部を引用したと明らかにした。郭教育監はこのコラムを通じて、総選挙で保守政党に投票しないよう暗示し、公職者としての政治的中立を違反したという批判を受けている。

◆このような主張は、米ハーバード大学精神科教授のジェームズ・ギリガンの著書「なぜ、ある政治家は、他の政治家より害を及ぼすのか」を根拠にしている。ギリガン教授が1900年から107年間、米国の自殺や他殺を含めた暴力致死の増減について調査したところ、共和党候補が大統領に選ばれた後の自殺率や殺人率が急増したという。現在の人口基準で、民主党大統領より共和党大統領が政権を握った時、自殺と他殺が11万4000人が多かった。

◆保守党が政権を取ると暴力性向が増える理由について、ギリガン教授は、特定政党の政策や戦略が暴力をあおり、社会の不平等が深刻化するためだと分析している。教授が注目している現象は、失業だ。社会から捨てられたという考えが、羞恥心を刺激し、このような気持ちが自分に向けられれば自殺、他人に向けられれば殺人として現れる。名誉を大事に考え、失業による社会安全網の脆弱な米国のシステムが、このような現象を生み出したような気がする。しかし、韓国にも適した理論かどうかは別問題だ。

◆わが国の場合、自殺率は通貨危機を機に急増する傾向を見せている。1992年、3533人だった自殺者は1998年は8569人に、12010年は1万5566人に増え、経済協力開発機構(OECD)メンバー国のうち、自殺率首位という不名誉を抱えている。一方、警察統計によると、わが国の殺人件数は政権の性向とは関係なく、グローバル金融危機後やや増加した。雇用が増えれば自殺率が高まる現象も現れている。ソウル大学の李𨩱羲(イ・チョルヒ)教授チームは20年間の追跡結果、雇用が増える好況期に自殺者が増えた。このような韓国的現象には目を配らず、「保守が政権を握れば人が死ぬ」という流の論理を展開させるのは深刻な歪曲だ。ともすれば、とんでもない言葉で波紋を起こす人が教育監だという事実が残念でならない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com