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[オピニオン]ブラックフライデー

Posted November. 28, 2011 03:03,   

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米国の11月の第4週・木曜日は、我々の秋夕(チュソク、陰暦8月15日の節句)に当たる感謝祭だ。異郷で暮らす家族までが一堂に会し、七面鳥の肉を食べながら、感謝の気持ちを分かち合う。そして、その翌日は、米最大規模のショッピングシーズンの幕開けを知らす「ブラックフライデー」だ。「ブラックフライデー」とは1960年代、感謝祭の翌日の交通混雑を指す警察用語だったが、今は、在庫を手放した企業各社の会計帳簿が黒字へと転じるという意味のほうがより大きい。

◆ブラックフライデーのショッピングブームは、我々の秋夕連休の帰省ピークに匹敵する。前日から、商店街の前にテントを張り、徹夜するのも平気だ。「ターゲット」や「ベストバイ」のような小売商店は、感謝祭のパーティーが終わるとすぐショッピングができるよう、金曜日の午前0時に店をオープンする。ほとんどの商店は、チラシを通じて、セール商品を予告するが、ある商店はいきなりセールを実施することもある。数も限られており、ひとまず品物を獲得しなければならない。企業各社は、この日の売上で、年末やその翌年の景気の流れを予測する。調査会社、ショッパートラックによると、今年の売上高は前年比6.6%増加し、07年以降最も高かった。

◆景気低迷をうけ、世知辛くなった世情を反映するかのように、今年のブラックフライデーには、眉をひそめる出来事が多かった。ロサンゼルスでは、30代の女性が、ウォルマートの家電製品コーナーで、Xボックス(ゲーム機)を先に買おうと、周りのショッピング客に催涙液を撒き散らし、20数人が怪我をした。ウェストバージニア州・サウスチャルストンの大手スーパー「ターゲット」では、60代の男が、ショッピングの途中、心臓病で床に倒れたが、周辺の無関心で死亡した。ショッピングというよりは、恥や道徳が消えた戦場のような風景だ。

◆伝統的文化のない米国人にとって、ショッピングは一種の国民的スポーツだ。収入の範囲内で消費をする我々とは違って、米国人は、これから手に入る収入を見込んで、先に金を使う。そのような米国人にとって、ブラックフライデーは、避けては通れない誘惑だ。だからといって、この日のショッピング騒ぎをかわいそうだと思う必要などない。ニューヨーク大学・スターンビジネススクールのダニエル・アルトマン教授は、最近、世界経済の運命を変える12トレンドのうち、1番目として、「米国の復活」を選んだ。その根拠として打ち出したのが、ほかならぬ米国人の消費パワーだ。借金をしてまで買い物をする米国人がいるからこそ、世界経済が回るという意味だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com