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[オピニオン]オーディションブーム

Posted July. 05, 2011 03:14,   

한국어

ケーブルテレビ番組「スーパースターK3(シュースケ)」の歌手オーディションへの応募が193万人に上っている。韓国の国民が5000万人とするなら、概ね25人に1人が歌手になりたいと、マイクを握ったことになる。歌手志望者らも、小学生から60代のお年寄りボーカルグループまで多様であり、「国民を上げて」といえるだろう。誰でも挑戦でき、実力さえあれば抜擢もあり得ることを示した「公正性」が、シュースケブームを招いた。金持ちでなくても、権力者とのコネがなくても、死に物狂いで全力を尽くし、持ち前の技を見せれば、成功できるという希望を示した。

◆「スーパースターK」と「偉大な誕生」の優勝者のホ・ガクとベク・チョンガンは、芸能事務所で厳しいトレーニングを経て育てられたアイドルスターとは程遠い。童話の中から抜け出したような王子様のイメージもない。換気扇の掃除夫と延邊・朝鮮族出身という華やかでない「過去」が、かえって劇的な感動を引き起こした。平凡ですらない人々の成功に向けた身悶えに、視聴者は、「自分のような人が他にいる」という代理体験や代理満足を覚える

◆シュースケの人気が予想をはるかに上回ると、テレビ局の持病である「物まね現象」や「追随番組」が10件に上った。同時間帯に似たような番組が乱立し、チャンネルを切り替えられるところがない。「私にも一発がある」と白日夢を見る応募者と、そのようなはかない夢につけこむでたらめな芸能事務所、さらに「的中型塾」までもが乱立している。志願者が多すぎて、1分弱の時間内に彼らのスター性を見抜かなければならない審査委員らが果たして、玉石をしっかり見分けることができるだろうか、という疑いも生じる。

◆オーディションブームには、その気さえあれば、猛スピードで推し進める韓国人特有のDNAが息づいている。戦争の廃墟の中から国を建て直し、韓国を情報技術(IT)大国に作り出した力も、ほかならぬこのような「私もできる」という精神や集中から出たものだ。世界の至るところに韓流の毛細血管が流れ始めたのも、このようなオーディションブームの底力と無縁ではないだろう。挑戦できたので幸せだったという一人の応募者の言葉が胸を打つ。何もせず後悔するのが、やってみて後悔するより一段と口惜しい。ただ、似たもの同士の番組に失望した視聴者らが引き潮のように遠のいた後の、舞台や客席のむなしさが気になる。

ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com